これまでにも高齢者向けの食事、宅配食などについてレポートいたしましたが、今回は病院で提供される食事についてお伝えしようと思います。

病院食に対する不満

 病院での食事はお世辞にも良いとは言えない場合が多いと思います。普段非常にアクティブに動いているダイシーさん(85歳、ヨーテボリ市在住)ですが、海外旅行から帰ってきた直後、病気になってしまいました。その際、一週間ほど入院したのですが、そのときの病院食に対して非常に不満を覚えたそうです。一週間の献立を見る限り、特に不満はなかったそうです。ある程度自分で選択することもでき、おいしそうなメニューが並んでいたそうです。しかし、いざ配膳されたものを見ると、見るに耐えないものだったそうです。見た目も良くなく、冷たくて、おいしくなくて・・・とダイシーさんはその感想を言っています。好き嫌いがなく、大体のものなら食べるダイシーさんでさえそう思ったそうです。あまりにもひどいので、食事の度に携帯電話で「証拠写真」を撮ることにしたそうです。 2015.03-Fig1.jpg携帯電話で撮影した病院食を見せるダイシーさん写真:アフトンブラーデット 退院後ダイシーさんはスウェーデン国内第二の発行部数を誇る大手新聞社に連絡をとり、このことを記事にしてもらいました。記事が掲載されてから一ヶ月ほどたって、ダイシーさんと新聞社は病院から招待を受けました。どのように調理、配膳されているかを見てもらい、ダイシーさんから指摘を受けて改良した点を見てもらうためです。ダイシーさんらは厨房を見学した後、試食を行いました。厨房の設備や味に合格点を出し、「患者さんにも同じような状態で提供されることを望んでます」とコメントしています。  2015.03-Fig2.jpg病院の厨房をチェックするダイシーさん写真:エリザベス・アルフェンビー  

有名シェフ

 スウェーデンで有名なレイフ・マンネルストレーム氏も前述のダイシーさんの指摘は最もだと言っています。マンネルストレーム氏はテレビの料理コンテスト番組の審査員をしたり、料理に関する本を出版したり、料理をプロデュースしたりと大活躍で、スウェーデンの料理界では非常に有名な人物です。もちろん自分でもレストランを運営しています。これまでにも何度かシニアレポートの中に名前が出てきたと思います。そんなマンネルストレーム氏ですが、最近は病院食に注目しています。自身が10年ほど前に入院したときの経験に基づいて、病院食の改善をしたいと考えています。現在、病院食をテーマにしたようなテレビ番組を制作できないか、テレビ局と交渉中だそうです。マンネルストレーム氏自身75歳で「高齢者」ですが、そのバイタリティーはとどまるところを知りません。氏は「できるだけ働きたくないんだけど、楽しいからやってるんだよね」と言っています。 2015.03-Fig3.jpgレイフ・マンネルストレーム氏写真:ウィキメディア・コモンズ 病院としても病院食を改善したいという思いはあります。スウェーデン南部の県、カルマル県では2013-2015年を病院食改善期間と定め、病院食の改善に努めています。県立病院では前述の有名シェフ、マンネルストレーム氏にプロデュースしてもらい、病院のレストランにバイキング料理を導入しました。患者の評判はよく、自分で食べる量を調節できるため、食べ残しが減るという副次効果もあったようです。このような努力の甲斐があり、2014年末に県立病院の病院食がスウェーデンで一番であると認定されました。 2015.03-Fig4.jpgカルマル県立病院のレストラン写真:マッツ・ホルマーツ 

まとめ

今回はスウェーデンの病院で提供される食事についてお伝えしました。マンネルストレーム氏やダイシーさんなど、バイタリティがある人の活躍によって病院食が改善されつつあるといえると思います。病院で提供される食事が良いか悪いかは入院している患者さんの活力や回復にもかかわってくると思うので、是非多くの病院で質の高い食事を提供してほしいと思います。