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ヨーロッパ高齢者事情研究のため、2007年2月ストックホルムシニアライフ研究所を開設しました。
現地から最新の高齢者事情をレポートします。

ヘルプツール=介護用品について(2)

松下泰志(Taishi Matsushita: 2012/1-), セスレ真美(Mami Sessle: 2011/11-2011/12),
ローベリ亜佐子(Asako Raberg: 2011/1-2011/10), ダールマン容子(Yoko Dahlman: 2007/2-2010/12)   

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統計によると、2002年に行政により支給された車椅子(手動タイプ)の数は、65歳から79歳までの高齢者に対して28,000台だった。
その数はこの年齢の1,000人に対して26台に相当する。80歳以上には55,000台、つまり1,000人相当に117台である。    
さらに自動電動車椅子は65歳から79歳までの高齢者に1,700台、1,000人に対し1.6台が提供された。80歳以上には851台、 1,000人に対し1.8台である。
ちなみに、手動の車椅子の利用者の67%は女性で、電動車椅子の場合は36%が女性であった。性別別利用分布なるのは男女の利用率が全く逆となるのは興味深い。
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歩行器の寿命(3~4年程)から見て、スウェーデン全体での歩行器の利用者は大体24万人だと見込まれている。
その数は、スウェーデン65歳以上のうち15.5%である。また80歳以上でみると、165,000人で35%となる。
75?84歳の利用率は、女性25%、男性9%。85以上では女性50%、男性27%となる。 
 
こういった歩行器は、足腰の機能の低下している高齢者たちに安心感、安全感を与え、自立しているという意識を与えることに役立っている。
大多数の歩行器利用者は歩行器の機能に大変満足しているという調査結果があるが、実際には歩行器による転倒などといった事故の事例も多々認められている。
また、歩行器の普及は行政にとっても経済的に有益であるとされている。それは、歩行器を利用しない場合、転倒による怪我への保障や歩行器がないためにできない日常の雑務(食料品の買い物など)を自宅訪問サービスなどに依頼する、などのコストを削減できるからである。
実際に、スウェーデンの街のあちこちでこういった歩行器を利用している高齢者を多く見かける。

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おむつ・トイレ用品の利用者の大多数は女性であるが、70歳を超えるとおむつ・トイレ用品を利用している男性が激増する。
特別住宅に住んでいる尿漏れの問題を持っている高齢者の8割程はおむつ・トイレ用品を利用している。尿漏れなどの症状がある場合は、やはりまずVardcentralenでの診察を受け、症状の具合によって適当なツールを支給される。市や県などの行政は、そういったツールを製造している会社より購入し、適当なものを提供する。


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視覚、聴覚に関しては特別なセンターが別途設けられている。前出のVardcentralen→Halpmedelcentrumという流れに加え、聴覚=Horcentral、視覚=Syncentralと呼ばれる特別な医療センターがある。それだけ、聴覚、視覚の診断というのは、デリケートでさらに専門的な診察が必要ということだろう。
他のヘルプツール同様、医療員に処方箋を書きそれをHalpmedelcentrumに提出し、必要なツールを支給してもらうという流れである。

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2005年の統計によると64,000人が89,000個の補聴器を使用している。2004年には58,500人の82,000個だったので、数としては多少増加の傾向にある。以下は利用者を性別・年齢別にみたチャートである。

1)男性、片方の耳のみ補聴器利用
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2)女性、片方の耳のみ補聴器利用
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3)男性、両耳用補聴器利用
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4)女性、両耳用補聴器利用
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2004年に視覚センター(Syncentral)で診察された患者の67%は65歳以上であった。また、同センターで初めて診察を受けたという65歳以上の患者は全ての患者の8割以上を占めていた。また、女性は全ての視覚センターの患者の66%を占めていた。

1)視覚センターの年齢別患者数
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2)女性、片方の耳のみ補聴器利用
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介護・生活補助用品の種類に関して言えば、おそらく日本のほうが多いくらいであろう。

しかし、その普及率、またその普及による高齢者の行動範囲の広がりなどが、スウェーデンのそれに勝っているかということは疑問である。どのような道具が自分の現在の状況に適しているのか、またどのような道具を使えばどの程度の生活ができるのかなどを判断するのは、専門家ではない個人にとって非常に難しい。また精神的にもデリケートな問題でもあるため、専門医者の診察により、最も適したツールを指示、そして支給されるというシステムは非常に安心感もあり、利用しやすいのではないかと思われる。

高齢になっても同居という選択が一般的でないスウェーデンでは、いかに自分の生活を自分で確保できるかということが重要な課題となっている。
 

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