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ヨーロッパ高齢者事情研究のため、2007年2月ストックホルムシニアライフ研究所を開設しました。
現地から最新の高齢者事情をレポートします。

スマート・シニアカード

松下泰志(Taishi Matsushita: 2012/1-), セスレ真美(Mami Sessle: 2011/11-2011/12),
ローベリ亜佐子(Asako Raberg: 2011/1-2011/10), ダールマン容子(Yoko Dahlman: 2007/2-2010/12)   

2010年の2月に、高齢者を対象とした新しい会員カード『スマート・シニア・カード(Smart Senior-kort)』が登場した。
『スマート・シニアカード』とは、65歳以上の高齢者(定年退職者)を対象にした会員カードで、
このカードを持つ会員たちは国内の様々な企業からのお得な割引やオファーを受けることができる。

 
このカードを提供するのは、2010年1月に設立されたばかりの新しい会社、株式会社スマート・シニア社だ。
ストックホルムに拠点を置くこの会社は、28歳から35歳の若者たちが始めた会社だ。
この会社は、スウェーデンのシニア層に特化し、シニアと市場の間にあるギャップを埋め、
様々な方法でシニアによる経済効果を促進することを事業目的としている。
 

スマート・シニアカード誕生の背景

現在は、新聞や雑誌、テレビCMなど様々な形で色々な割引やクーポンなどお得なオファーが世の中にあふれかえっている。

しかし、いざその割引やクーポンを使おうとする時に限って、クーポン券が見つからなくなってしまったり、
複雑な手続きをしなければ利用できなくて実際に使えなかったりということはよくあることだ。
特に高齢者にとっては、例えば特別なホームページにログインしてコードを入力してクーポンをプリントアウトするなどといった面倒な作業はより大変なこととなる。

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そのような面倒な手続きの背景から生まれたのが、この『スマート・シニアカード』だ。
このカードを持っていれば、契約している様々な企業の割引やお得なオファーを、
カードを提示するだけで簡単に受けることができる。
つまり、財布にこのカードを入れておきさえすれば、割引クーポンなどをいちいち持ち運ばなくてもよくなるのだ。

 

スマート・シニアカードの対象となる65歳以上または年金を受け取っている高齢者は今日スウェーデン国内に約150万人いる。今後5年間でその対象者はさらに50万人増加すると考えられている。
スウェーデンの高齢者たちはこれまで以上により健康でより新しい価値観をもつ世代となっている。
ある調査によると1940年代生まれの人々のインターネット利用率は他の世代と比べても非常に高く、
経済的に豊かで、そして自分が自由に使う事のできる時間もたっぷりあるという結果がでている。
 

スマート・シニアカードの利用

スマート・シニアカードを持つには、65歳以上であるか定年退職しているという条件がある。
カードを持つための年間料金は199kr(約2600円)。
ただしPRO(スウェーデン年金連合会)の会員は、このカードは無料でもらえる。

2010年1月31日にまずはPROの全会員にこのカードが送られた。現在では41万人の高齢者がこのカードを所有している。

このスマート・シニアカードと契約し、お得なオファーを提供している企業の種類は、
旅行、健康用品、飲食、家庭用品、電化製品、など多岐にわたる。
以下はオファーの一例だ。
 
マクドナルド:
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・30kr(約390円)以上のブレックファーストセットを購入した場合、ヨーグルトを無料サービス。
・49kr(約650円)以上のセットを購入のした場合、5kr(約65円)割引
又はコーヒー、カプチーノ無料サービス又はアイスクリームを無料でサービス。
・12kr(約160円)以上のスナックを購入した場合、コーヒー、カフェラテ又はカプチーノを無料サービス。
 
アポテーケット(スウェーデン国営薬局):
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・Natusan社のハンドクリームを50%引きで購入可能。
 
スキャンディック・ホテル:
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・スキャンディック・ホテルのダブルルームを格安価格で利用可能(265kr(約3500円)から)。
・ボロース市の動物園の入場料割引+ボロース市のスキャンディック・ホテルの宿泊割引。
・ベクショー市のガラス作り体験割引+ベクショー市のスキャンディック・ホテルの宿泊割引。
 
マクドナルドやアポテーケット(スウェーデン国営薬局)、スカンディックホテルなどの大手企業も参加しており、
『スマート・シニアカード』のホームページでは利用可能な全てのオファーを見ることができる( www.smartsenior.se )。
オファーの内容や提携企業は流動的であるが、2010年6月現在で約40社ほどの企業が参加し、
様々な種類のオファーを提供している。
 

スウェーデン国内の高齢者割引

現在、スウェーデン国内で高齢者を特に対象とした一般企業による割引制度は意外と少ない。
主な高齢者割引は国や市が運営しているものがほとんどで、
例えば国内交通機関であるSJ(スウェーデン国鉄)、SL(ストックホルム地域交通)、Swebus(スウェーデン・バス)や
航空会社のスカンジナビア航空、ストックホルム市立劇場、市営プールなどだ。 
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割引内容の例としては、
SL:1ヶ月定期(一律料金) 一般690kr(約8970円)、シニア420kr(約5460円)。
Swebus:最大20%割引。
SJ:直前割引の利用が可能となる(一般は直前割引の購入はできない)。
ストックホルム市立劇場:一般210kr(約2730円)、シニア175kr(約2275円)。
市営プール:回数券を購入の際180kr(約2340円)の割引。
などだ。
これらの割引を利用する際、ほとんどの場合には年金を受け取っていることが条件となり、
社会福祉庁から出される年金の受け取り証明書を提示する必要がある。
 

まとめ

医療や福祉など国による、いわゆる『必要不可欠』な高齢者福祉サービスは非常に充実しているスウェーデンだが、
一般企業による高齢者を対象としたプラスアルファのサービスや割引は意外と少ない。
この『スマート・シニアカード』はまだまだ始まったばかりの新しいビジネスだが、今後たくさんの企業が参加し、
益々充実したサービスの提供が可能となれば、
スウェーデンの元気な高齢者たちの生活がより楽しく、充実したものとなるのではないだろうか。

 

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