HOME  >  スウェーデンシニアレポート  >  スウェーデン紀行(3)復活祭編

ヨーロッパ高齢者事情研究のため、2007年2月ストックホルムシニアライフ研究所を開設しました。
現地から最新の高齢者事情をレポートします。

スウェーデン紀行(3)復活祭編

松下泰志(Taishi Matsushita: 2012/1-), セスレ真美(Mami Sessle: 2011/11-2011/12),
ローベリ亜佐子(Asako Raberg: 2011/1-2011/10), ダールマン容子(Yoko Dahlman: 2007/2-2010/12)   

復活祭ってなに?

復活祭はキリスト教国にとって、クリスマスとならぶ重要な祝い日で、十字架にかけられて死んだイエス・キリストが三日目に復活したことを記念する日だ。復活祭はもともと太陰暦にしたがって決められた日であったため、太陽暦では基本的に春分の日の後の最初の満月の次の日曜日に祝われ、年によって日付が変わる異動祝日である。ちなみに2011年の復活祭は、4月24日だ。
 
スウェーデン国民にとって復活祭は、宗教的な意味合いよりも、冬から春へと向かう季節の行事の一つとして親しまれている。スウェーデン語で、復活祭は「ポスク」という。スウェーデンのポスクは、年によって3月末から4月中旬までと多少前後するが、毎年木曜日の午後から翌月曜日がポスクの期間となる。4日半にもわたる長い祝日のそれぞれの日には、次のような名前がついている。
 
0427_01.JPG
 
金曜日から月曜日までが、復活祭「ポスク」である。この期間、スウェーデンのあちこちで見られるもののキーワードといえば、ポスクリリーと呼ばれる「黄色いラッパ水仙」、「カラフルな卵」、「白樺の枝の先に鳥の羽をつけた飾り」などだ。卵は復活や誕生を意味しており、他のキリスト教国の習慣と共通だが、黄色い水仙は長く待ち望まれた春の到来の喜びを象徴し、枝の先につけられた鳥の羽は、ドイツの青い山に住んでいる悪魔とダンスをするために、スウェーデンの魔女達がポスクの日に飛んで行くというスウェーデンの古くからの言い伝えにまつわるものだ。
 
スウェーデンでは、18世紀でさえ魔女に告発されると死が訪れると信じられていた。現在でも西の地方では、大きな焚き火を燃やしたり、かんしゃく玉を破裂させたりする。これは、焚き火やかんしゃく玉で魔女を追放できるという魔術が信じられていた頃の名残だ。
 
0427_02.JPG
ポスクを代表する「ポスク・リリー」
 
0427_03.JPG 
カラフルにペイントされた卵
 
0427_04.JPG
色鮮やかな羽がつけられた白樺の枝
 
ポスクの前の晩になると、女の子達は頭にスカーフを巻き、丈の長いスカートをはいて魔女に扮装し、近所の家を一軒一軒訪ね回り、自分で描いた絵を渡してお菓子と交換してもらう。最近は男の子も参加できるようになり、男の子は黒い魔女のとんがり帽子をかぶって、顔にはヒゲをペイントして扮装する。
 

0427_05.JPG

ポスク料理

スウェーデンの伝統的なポスク料理といえば、「シル」とよばれるニシンの酢漬け、サーモン、ゆで卵、ラム肉などだ。その他「ヤンソンさんの誘惑」というアンチョビ入りのポテトグラタン、ミートボールを食べる家庭もある。
 
- シル -
 
いわゆる生のニシンの酢漬けである。自分で作る家庭もあるが、色々な味を手軽に楽しみたいなら瓶詰めのものをスーパーで買うことができる。オリジナルの味は、ハーブが入った酢漬けだが、最近ではマスタード、ガーリック、トマトソースなど新しい味が増えている。シルと一緒に食べるのは、ゆでたジャガイモとパン。サラダ用ネギがのったサワークリームは、シルにのせて食べるとおいしい。
 
0427_06.JPG
 
- スナップス -
 
シルを食べる時に欠かせない飲み物が「スナップス」。じゃがいもを主原料とする蒸留酒で、アルコール度40℃のスピリッツだ。
 
0427_07.JPG
 
スナップスを飲む前には、みんなで歌を歌うのが習慣となっていて、歌の種類はかなりある。最も一般的で盛り上がると言われている歌を一曲紹介しよう。
 
スウェーデンの乾杯の歌
 
Helan går ! Sjung hoppfaderallalalej
一気に飲もう! さあ歌おう ホップファッデラララレイ
Helan går ! Sjung hoppfaderallalalej
一気に飲もう! さあ歌おう ホップファッデラララレイ
Och den som inte Helen tar han heller inte halvan far
全部飲まない人には もう注がないよ
Helan går! Sjung hoppfaderallalalej
一気に飲もう! さあ歌おう ホップファッデラララレイ
 
- ゆで卵 -
 
ポスクエッグは、イースターイヴかイースターの日に食べる。食べ方は色々だが、卵の上にエビをクリームとマヨネーズであえた「スカーゲン」とキャビア、ハーブの一種のジルをのせて、シルと一緒に食べるのがポピュラーだ。
 
0427_08.JPG 
 
- ラム肉 -
 
スウェーデンのポスクのテーブルにラム肉が並ぶようになったのは、1900年代の初期で、食の歴史としては100年以内の比較的新しい伝統と言える。ラム肉の代わりにサーモンを食べる家庭も少なくない。ポスクの時期にラムを食べるにはスウェーデンの気候は寒く、子羊が十分成長していないため、約67%ニュージーランドとアイルランドからの輸入に頼っている。
 

まとめ 

スウェーデンの祝い事に食べる料理は、シンプルで飾らないものが多い。行事ごとに料理の違いはあまりなく、例えばポスクとクリスマスはほとんど同じものを食べる。クリスマス料理では、ラム肉の代わりにクリスマスハムを食べるぐらいだ。
 
若い人達は新しいメニューを作ろうと、寿司や豆腐を使った料理など色々な国の料理を取り入れているが、この伝統的な料理こそスウェーデンであり、彼らはそれを誇りに思っている。
 
ヨーロッパは伝統を重んじる国が多く、家や家具なども古いものを好む人が多いが、スウェーデンは特にその傾向にある。人生と同様に、一つ一つのものにも歴史がある。そんなスウェーデン人の考え方が、この国の変わらぬものと変わっていくものをうまく調和させているのではないだろうか。

 

ページTOPへ