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ヨーロッパ高齢者事情研究のため、2007年2月ストックホルムシニアライフ研究所を開設しました。
現地から最新の高齢者事情をレポートします。

シニアのためのハイテク生活補助ツール(3)

松下泰志(Taishi Matsushita: 2012/1-), セスレ真美(Mami Sessle: 2011/11-2011/12),
ローベリ亜佐子(Asako Raberg: 2011/1-2011/10), ダールマン容子(Yoko Dahlman: 2007/2-2010/12)   

今回のレポートでは高齢者が安心して生活できるセキュリティシステムについてご紹介いたしたいと思います。
 

アラーム装置

まずはじめに腕時計型アラーム装置についてのご紹介したいと思います。以前にも同様の装置をご紹介しましたので(シニアのためのハイテク生活補助ツール(2) 2008.08.26 参照)、ここでは簡単に説明いたしたいと思います。
 
腕時計型アラーム装置
 
ユーザー(高齢者)が緊急事態の時に自分でアラームを発信できないような場合、腕時計型の装置がアラームを発します。例えば脈拍数が極端に上がった、下がったといった場合などです。また、手動でアラーム発信することも可能です。また、この腕時計型の装置が取り外されたりバンドが緩んだ場合、バッテリーがなくなりかけている場合にもアラームが送られます。これらのアラームはパソコンや携帯電話で受信でき、アラームの履歴もパソコンで管理することができます。
 

家のセキュリティシステム概要

次に、高齢者向けの家でのセキュリティーシステムについて説明したいと思います。自立して生活することが求められるスウェーデンですが、高齢者の一人暮らしは本人にとっても家族にとっても不安なものです。セキュリティシステムを家に導入することでそういった不安を軽減することができます。
 
スウェーデンにはリマインダー・アラームの発信を中心としたセキュリティシステムがあります。このシステムを導入することで、例えば「おやすみボタン」を押せば、戸締りができているか、ストーブやライトがついていないか、水が出しっぱなしになっていないかなどをチェックすることが可能です。もちろんそれだけでなく、薬の時間、病院に行く事、ごはんを食べることなど他のリマインダーを実行することもできます。また、自動で何かを実行することも可能で、例えば水を流しっぱなしにしている場合、自動で水を止めるといったことができます。
 
リマインダーは携帯電話へのメッセージ、音声、専用のタッチパネル、パソコンなど様々な形で受け取る事ができます。これらの情報はウェブ上で管理することができ、そこにアクセスできる家族や介護士などが必要に応じて、さまざまな設定をすることができます。情報を共有する人を指定することも可能です。また、家族や介護をする人にも自動でメッセージを送ることができます。
 
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携帯電話のスピーカーを利用した音声でのリマインダー
 
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専用のタッチパネル
 
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スマートフォンでのメッセージ受信例
 
システムは有線、無線、デジタル、アナログセンサーどのような形式でも家庭にある装置と通信をすることが可能です。それぞれの家電製品などをシステムに組み入れることもシステムから外すことも簡単にできます。また、必要な機能は使用者に合わせてカスタマイズすることができ、システムのオン・オフも簡単に切り替えることができます。
 
このシステムを導入することでどういったことが出来るか、実例を挙げてもう少し具体的にご紹介してみたいと思います。
 

実例1  Bさん(60代・男性)のケース

Bさんは体そのものは健康なのですが、軽い認知症になってしまいました。奥様とアパートで二人暮らしなのですが、奥様は仕事をしており、Bさんは家事を積極的に行いたいと思っています。これまでBさんは何をしたらよいか思い出せなくなるたびに仕事中の奥様に電話をしていました。これは奥様にもストレスになっていました。
 
ご夫婦は家にセキュリティシステムを導入し、細かいリマインダーを設定しました。システムを導入することによって、食事の時間、病院に行く時間などを自動的にリマインドしてくれる用になりました。Bさんが病院に行くために家の玄関の戸を開けたかどうかもセンサーがチェックしてその情報が奥様の携帯電話へと送られるようになりました。また、アイロンをかける、指定した時間が経ったあとアイロンのスイッチを切る、洗濯をする、洗濯機のフタを開けて洗濯物を干すといったことのリマインド、冷蔵庫の扉の状態のチェックなども行なっています。
 
Bさんにとっては自分で家事ができるということが自信につながり、奥様にとっては仕事から帰ってくると、ご主人が家事が終えているので、生活は快適なものになりました。また、奥様は家のことを心配することなく仕事を続けられるようになりました。
 
家での会話もこれまでは何をやらないといけないかの確認や、きちんとやったかどうかといった確認が多くあまり愉快ではありませんでしたが、そういったことが必要なくなり、より楽しい会話が出来るようになったとのことです。
 

実例2 Eさん(50代・女性)のケース

Eさんは事故で脳に障害を負ってしまいました。そのせいで、電話がかかってくると蛇口を閉め忘れて水を流しっぱなしにしてしまうといったことが起こるようになりました。そのため、日に3回簡単な介護を受けていましたが、少々うんざりしていました。
 
そこで、Eさんはセキュリティシステムを導入し、何か別な事が起こると、それまでにやっていたことを忘れてしまうような時に備えてリマインダーをセットしています。リマインダーが自分の携帯電話に届くようにしています。これで蛇口の締め忘れをすることもなくなります。この他に、病院に行く、家族が家に来るといったことのリマインダーが届くようにしています。リマインダーは息子さんや介護の人がそれぞれのパソコンから設定しています。
 
また、ゴミ出し日の前日の夕方にリマインダーが自分の携帯電話に来るようにも設定しています。当日ゴミを出し忘れていたら再度リマインダーが届きます。きちんとゴミを出すことができたら、センサーがそれを感知するので、リマインダーが来ることはありません。またEさんが出かけようとすると、センサーがそれを感知して、防犯アラームのスイッチをいれるようにリマインドしてきます。そして同時に、門やドア、ガレージがきちんと閉まっているか、コーヒーメーカーがオンになっていないかなどをシステムがチェックしてくれます。もし、問題があれば携帯電話にメッセージが来ます。ゴミ箱や玄関、門などにセンサーを取り付けることでこういったことが可能になります。
 
システムを導入したことによって以前ほど介護が必要ではなくなり、多くのことを自分でこなすことが出来るようになったとのことです。
 

まとめ

今回はリマインダー機能を中心としたスウェーデンのセキュリティシステムについてご紹介いたしました。パソコンや携帯電話のリマインダー機能自体は通常でも使っている人が多いと思います。今回ご紹介したシステムは、センサーで感知し、場合によっては自動で実行するところが特徴的であるといえるかと思います。また、「自立を促す」というスウェーデンでの基本的な介護スタンスに基づいたセキュリティシステムであるといえると思います。
 

 

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