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ヨーロッパ高齢者事情研究のため、2007年2月ストックホルムシニアライフ研究所を開設しました。
現地から最新の高齢者事情をレポートします。

シニアの活躍(2)

松下泰志(Taishi Matsushita: 2012/1-), セスレ真美(Mami Sessle: 2011/11-2011/12),
ローベリ亜佐子(Asako Raberg: 2011/1-2011/10), ダールマン容子(Yoko Dahlman: 2007/2-2010/12)   

 今回のレポートでは定年退職後もアクティブに活躍するシニアについてレポートいたしたいと思います。

定年退職者の会社設立

ここ最近65歳を超えた人が個人で会社を設立するケースが増えているようです。1年前の冬(2011年)の統計によると2008年から2010年までの期間に会社を設立した人の数は27%増加しており、この傾向は続いているように思われます。特にスウェーデン南部のスコーネ地方でこの傾向が強く、2012年上半期だけで65歳位上の人によって設立された会社が152社登録されています。昨年の同じ時期には101社登録されました。スウェーデン全国では毎週40人の定年退職者が会社を設立しています。
 
設立されている会社の多くはコンサルタント業、レンタル業、建築業などのようです。その他、文筆業や芸術関係の会社もあります。また、ここ数年シルバー人材を派遣する会社がたくさん設立されました。こういったシルバー人材派遣の会社には地域限定の会社から、全国規模の会社までたくさんあります。高齢者の雇用税が低いため、事業として収益が上がり、成功しているようです。
 

シルバー人材派遣

会社を設立するのではなく、シルバー人材派遣会社を通して働き続ける人もいます。すでに定年退職したヘイッキ・ルシラさんの奥さんと子供さんは働いてますが、ルシラさんは家でごろ寝をしているわけではありません。ルシラさんも週に30?35時間働いています。
 
「自分はこれまでずっと仕事仲間と仕事をするのを楽しんできたからね。働くのは金のためじゃないよ」と彼は言っています。
 
ルシラさんと35年間フィンランド人移民として共にスウェーデンで生きてきたのがエルキ・リトコネンさん。彼が自分で設立した会社にルシラさんを誘ったのでした。会社は掃除、庭の手入れ、家のリノベーションなどができる50人ほどの退職者を雇用しています。また、看護師や主婦の経験者も在籍しており、子供の幼稚園への送り迎え、料理、掃除などができる人もいます。若い人は仕事で忙しいことが多いので、要望にマッチしており、喜ばれているようです。
 
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エルキ・リトコネンさん(69歳) とヘイッキ・ルシラさん(72歳)
 
自らも退職者であり会社を運営するリンドストロームさんは「いままでやった中で一番楽しいね。みんな信頼出来る、経験が豊富で知識のある人たちで」と言っています。
 
リンドストロームさんが会社を引き継いだ時、「年寄りが若い未就労者から職を奪う!」と批判の矢面に立たされるのではないかと思っていたそうです。「でもそんなことはなかったね。労働組合とも話し合いをしたけど、特に異議はなかったよ」と彼は言います。
 
スウェーデンの社会保障担当大臣であるクリステルションは高齢者の雇用を促進しています。そのこともあり、通常30%近い雇用税も65歳以上の人を雇用した場合は10%になります。顧客は時給325クローナ(約4000円)を払うことになります。税に関してさらに優遇が受けられる場合は半額にまで値段が下がります。このようなことから、会社として充分収益を上げることができ、利用者にとってもリーズナブルな価格で人を派遣してもらうことができます。そして何よりも、定年退職者にとってはまだまだ社会に充分関わる事ができるという点が最も大事な部分だと思います。
 
「生きがいを見つけることができる!最高だね。ソファに座ってると気分まで沈んでくるからね」とルシラさんは言っています。
 

ブログおばあちゃん

会社を設立したり、人材派遣会社を通して働き続ける人たちとは少し違った形で活躍するシニアもいます。最近話題になったのが、ブログおばあちゃんです。高齢者介護施設に住むヘニー・ブルン・エリクソンさん(73歳)は今年8月にブログを立ち上げて、すぐ3000人の読者を獲得し、話題になりました。スウェーデンの人口は日本の1/10以下の950万人程度ですので、3000人と言えば、日本では3万人以上に相当します。
 
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ブログおばあちゃんことヘニー・ブルン・エリクソンさん(73歳)
 
ヘニーさんとご主人は三年前に病気になり、それをきっかけに現在の高齢者介護施設に移り住んできました。他に解決方法がなく仕方なく住んでいるとのこと。ご本人は「閉じ込められている」と感じており、まだ施設に住むには若すぎると考えていらっしゃるようです。73歳のヘニーさんは「ここには100歳の人が住んでるけど、彼が生まれたときは電話もほとんどなかったような時代だからブログのことなんてわかんないでしょうね」と笑いながら話しています。ヘニーさんは車椅子に乗り、華奢な体ですが、その中にエネルギーを秘めているように思います。
 
ヘニーさんは気ままにブログを書いていますが、高齢者のことに絞って書いているそうです。ブログを始めたきっかけは高齢者に対する待遇に怒りを覚えたからだそうです。食事ひとつにしても、色々と言いたいことがあったようです。高齢者介護施設の食事を担当している市の担当部署とも交渉し、食事を改善するよう求めています。
 
ヘニーさんはパソコンが得意ではないので、ワープロソフトで文章を書き、それを友人に頼んでブログにアップしてもらっているとのこと。「友人は『有名人になるんじゃない?』と言ってるけど、私は別に有名人になりたくはない。高齢者問題について考えるきっかけになればそれで充分です」
 

まとめ

「ソファに座ってると気分まで沈んでくる」というルシラさんの言葉が言い表しているように、働き続けること、何かを行動に移すことでよりエネルギッシュになり、皆さん若さを保っているように思われます。活躍するシニアはまだまだたくさんいらっしゃいます。今後も機会があればスウェーデンの元気な高齢者についてご報告いたしたいと思います。
 

 

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