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ヨーロッパ高齢者事情研究のため、2007年2月ストックホルムシニアライフ研究所を開設しました。
現地から最新の高齢者事情をレポートします。

2013年の高齢者福祉に関する政府方針

松下泰志(Taishi Matsushita: 2012/1-), セスレ真美(Mami Sessle: 2011/11-2011/12),
ローベリ亜佐子(Asako Raberg: 2011/1-2011/10), ダールマン容子(Yoko Dahlman: 2007/2-2010/12)   

 

今回のレポートでは2013年の高齢者福祉に関する政府方針について報告いたしたいと思います。
 

新年の目標・抱負

まずはじめに新年ということで、スウェーデンのシニアに何か新年の目標・抱負があるかどうか聞いてみました。
 
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リーディングさん(64)
「そうだねぇ、働き過ぎないことかな」
 
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イサクソンさん(62)
「特に無いね。毎年特に決めてないし。何をしたもんかね。悪い癖を治すぐらいかね?」
 
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カールソンさん(64)
「特に無いわね。必要とも思わないし。別に目標がなくてもいい年になるわよ。なんでもうまくいくわ。悪い習慣を直そうとしたりやめようと思ったこともないわ」
 
みなさん自然体で新年を迎えられたようです。
 
 

2013年の高齢者福祉に関する政府方針

さて、新年を迎え、スウェーデン政府より2013年の高齢者福祉に関する指針および重点項目が発表されました。
 
政府の高齢者福祉に関する方針のキーワードは「社会参加、幸福・健康、選択の自由」です。スウェーデン政府としては高齢者がアクティブに生き、常に社会と関わりを持ち、安全で自主独立した日常生活を送れるようになることを目指しています。また、すべての高齢者に敬意を払い、すべての高齢者が十分な医療・介護が受けられるようにし、すべての人が健康であると実感できるようになることを目指しています。
 
また政府は、できるだけ高齢者が自宅に住むことが出来るようにサポートし、本人が自宅に住むのは安全ではないと感じた場合、あるいは何らかの事情で高齢者福祉施設に移り住む必要がある場合、すぐに移り住むことが出来るようサポートしています。
 
この他に政府は、本人の要求に応じた介護をすぐに利用できるようにすること、また、経験抱負な介護・医療スタッフおよび質の高い介護・医療を提供することによて高齢者が介護・医療機関を信頼出来るようにするための政策を策定しています。
 
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前述の基本指針をもとに今年(2013年)の重点項目が下記のように決まりました。
 
1.高齢者福祉に関する価値観の共有
2.高齢者への堅実なケア
3.認知症患者対策への投資と患者のサポート
4. 介護関係者の教育への投資
5. 高齢者介護施設等の住居への投資
6. 選択の自由に関する法律
 
 
1. 高齢者福祉に関する価値観の共有
これはこれまでにも力を入れて行われてきたことですが、政府(国)と地方自治体の間で高齢者福祉に関する価値観を共有することに力を入れるようです。国が策定した綱領は価値観・基準を明示するもので、地方自治体がこの考えを共有し、高齢者福祉がどのようになされるべきかを決める必要があります。そのため、政府は価値観を共有することが重要であると考えているようです。
 
政府としては地方自治体が高齢者介護などに関する活動に関して、適正な行政改革を実行できるようその活動を引き続きサポートする方針です。すべての地方自治体が政府の指針に基づき活動を行うようにし、そのことによって、すべての高齢者が充実した健康な生活を送ることを目指しています。
 
2. 高齢者への堅実なケア
現政府はこれまでの任期期間中43億スウェーデンクローナ(約516億円)を、主に病気の高齢者のために医療機関・介護システムを改良すべく、投資してきました。2013年も引き続き、病気の高齢者のためという枠内で投資していくようです。体系的なケア、効率的な薬の使用、認知症患者へのより手厚いケア、緩和ケア、予防を行うために投資し、地方自治体をサポートすることで地方自治体とも合意しています。
 
3. 認知症患者対策への投資と患者のサポート
高齢者の中で最もサポートを必要としているのが認知症の人たちです。政府は認知症患者に対する介護のあり方、スキルをより良いものにし、認知症患者のサポートに関する法律を作り、認知症患者が法によって守られるようにする方針です。
 
4. 介護関係者の教育への投資
政府は引き続き、高齢者介護士の基礎知識・技能を強化するために該当分野の教育に投資する方針です。また、体が不自由な人をサポートする人の養成、高齢者介護の現場の責任者の教育にも力をいれる方針です。
 
5. 高齢者介護施設等の住居への投資
政府は昨年までも安全面などから高齢者にふさわしい高齢者用住居の開発に取り組んできました。政府は引き続き同様の住居の住居数を増やしていく予定です。高齢者のニーズに合わせた住居を作るためにマーケティング調査も行うようです。
 
6. 選択の自由に関する法律
政府はそれぞれの人が必要なサービスを自分の意思で選択することによって、自分の生活を決めることが重要であると考えています。2013年、政府はより多くの自治体が「選択の自由に関する法律(Lagen om valfrihet)」のもと、より多くの選択肢を用意するよう促進する考えです。また、「選択の自由に関する法律」の有効性を分析・評価するために専門の調査官を任命するようです。
 
 

介護・医療関係者の教育とその予算

 
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児童・高齢者担当大臣 マリア・ラーション
 
先にも述べましたように、政府は高齢者介護に関わる人材の養成に力を入れる方針です。高齢者介護の現場責任者の養成・能力向上のためのプログラムを新たに立ち上げる予定です。高齢者介護の現場責任者の養成に必要な経費は基本的に地方自治体が担うものの、国としても2013-2015年の間に1億スウェーデンクローナ(約12億円)を拠出するとのことです。このプログラムは、高齢者介護のプロフェッショナル・リーダーシップを発揮できる人材の育成を目的としており、1対1でのコミュニケーション、組織のマネジメント、財政面の管理、人格面など全てにおいてトレーニングを行うことになっています。期間は未定であるものの2013-2015の間に行うことになっています。
 
介護・医療の現場で働く人は高齢者や体が不自由な人のために働いていますが、多くの場合、高齢者は体が不自由であります。そのため、幅広い技能が要求されます。政府としては、すでに身に着けている技能の延長線上で新たな技能を身に着けてもらうことによって、効率的に新しい技能を身に着けてもらおうと考えています。そして新しい分野でその技能を発揮してもらえるものと期待しています。高齢者介護の技能を向上してもらうべく政府主導のプログラムが2011年から始まっており、2014年まで続くことになっています。これらにかかる費用は総額10億スウェーデンクローナ(約120億円)と見積もっています。政府は2013年も引き続き能力開発を続けていく予定にしています。
 

まとめ

今回は年の始めということで、高齢者介護に関する2013年の政府指針についてご報告いたしました。今年も皆様に興味を持っていただけるようなレポートをお送りいたしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 

 

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