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ヨーロッパ高齢者事情研究のため、2007年2月ストックホルムシニアライフ研究所を開設しました。
現地から最新の高齢者事情をレポートします。

活躍するシニア(2)

松下泰志(Taishi Matsushita: 2012/1-), セスレ真美(Mami Sessle: 2011/11-2011/12),
ローベリ亜佐子(Asako Raberg: 2011/1-2011/10), ダールマン容子(Yoko Dahlman: 2007/2-2010/12)   

 今回のレポートでは前回に続き、ボランティアで活躍するシニアについてご紹介したいと思います。

 

シニアによるボランティア

 
スウェーデン人の半分が何らかの形でボランティア活動に従事していると言われています。そしてその大半が女性だそうです。健康で長生きする人が増えているため、定年退職後も活躍したいと思う人も増えているようです。どれくらいの定年退職者がボランティア活動に従事しているか正確な数字はわかっていませんが、ボランティアを必要としている人とボランティアに参加したいと思っている人の橋渡しをしているボランティアオフィス(Volontärbyrån)によると、アンケート調査の回答者の約10%が定年退職者だったとのことです。
 
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ボランティアオフィスでは様々なボランティア活動を検索することができます(http://www.volontarbyran.org/)。
 
ボランティアの内容は観光ガイドや移民を対象としたスウェーデン語教育(話し相手)、スポーツ、レジャー、カルチャー関係など様々です。定年退職者が高齢者のヘルプをすることも多いようです。例えば、話し相手になる、本を読んであげる、一緒に時間を過ごすなどです。最近では社会活動に関するボランティアが増えており、これには定年退職者が貢献しているそうです。
 
医療関係のボランティアも今後増えることが期待されています。地方自治体の財政状況に問題がないときは自治体が離島からのヘリコプターやボートによる患者の輸送、離島での医師による検診などを負担することが可能ですが、今後財政が悪化した場合、ボランティアによって行う必要があるかもしれません。
 
ボランティアに携わるNGO団体の一人は高い税金と公平な福祉のための資金から成り立っているいわゆるスウェーデンモデルを崩壊させることなく、自分たちの仕事をするつもりだと言っています。
 

移民のための家庭教師ボランティア

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ビルギッタさん(69歳)は67歳で定年退職した時、脱力感を感じたそうです。まだまだ持ち余しているエネルギーと経験・知識を役立てたいと思ったそうです。そんな彼女は現在、ボランティア活動に従事しています。
 
退職後、友人を通してボランティア団体にコンタクトを取り、面接をしてもらい、自分の経歴などを説明したそうです。そして、ビルギッタさんに一番合うボランティア活動を紹介してもらい、ボランティアとしてのスキルを向上させるための講座で勉強してから、現在は若い移民の人たちの家庭教師役をしています。主に看護師を目指している人の家庭教師をしていて、スウェーデン語、英語、数学などを教えています。2人のボランティアが週2時間、彼らの家庭教師役をしていて、質問に答えたり、スウェーデン語でおしゃべりをしたりしています。みんな熱心でお互い楽しんでいて、成長を見るのが楽しみだそうです。
 
家庭教師役をやると同時に主に80歳以上の高齢者に隔週で会ってお話相手も務めています。このボランティアで高齢者の人と親しくなったそうです。ビルギッタさん曰く、「殆どの人が送迎サービスの車で一人でやってきます。彼らにとってここが外界との接点になります。とても良いことだと思います。」
 
さらに毎夏一週間、高齢者のためのキャンプも行っています。彼女の他に、違うボランティア活動に携わっている人も参加して、合同でキャンプをしています。
 
職業心理学の分野で働いてきたビルギッタさんのキャリアとはあまりつながりのないボランティア活動を行うことで新しい環境に身を置いて、新たな刺激を得ているようです。彼女はボランティアを通じて人を助けることに生きがいを感じています。また、ボランティアを通じて他の同年代の同じ志を持っているボランティア仲間にも出会うことも楽しみにしているようです。
 
このようにとてもエネルギッシュにボランティア活動をしているビルギッタさん。彼女の活躍はまだまだ続きそうです。
 

パソコン講師ボランティア

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アンデッシュさん(73歳)は65歳で定年を迎えました。そのとき何か自分にできることはないかと自分に問いかけたそうです。アンデッシュさんはインターネットで検索してスウェーデン全国に沢山のボランティアの仕事があるのを知ったそうです。
 
アンデッシュさんはギリシアとポーランドからの移民の人にパソコンの使い方を教えるボランティアに携わりました。アンデッシュさんはプログラマーとして25年働いた人です。定年退職してからは人と関わりのある仕事をしたいと思っていたそうです。そこで、ボランティア団体からストックホルム市内にあるギリシア人女性協会でパソコンの使い方を教える仕事を紹介してもらったそうです。
 
アンデッシュは小むづかしいパソコンの基礎を教えるのではなく、参加者がパソコンで何をやりたいかを聞いてそれに沿う形で教えていったそうです。ワープロソフトで手紙を書く、ギリシアの親戚にメールを送る、ギリシアの新聞をネットで読むといった実際に役立つシンプルなリクエストが多かったそうです。授業ではサーチエンジンを使う練習、クラス内でお互いにメールを送る練習などをしたそうです。
 
週一回の授業に沢山の女性が参加したそうです。その後、ポーランド女性協会もアンデッシュを講師役に指名してきたそうです。
 
「彼女たちは以前はパソコンの埃を拭いていただけでした。彼女らにとってパソコンというのは男性が使うものだったんです。自分はシンプルな方法で自分の持っている知識を参加した人に伝えることにしています。参加者が、自分のやりたいことを見つけて、それをパソコンでやることが難しくないと気づいた時本当に幸せそうです。」とアンデッシュさんは言っています。
 
4年後、アンデッシュさんはストックホルムを離れ、自分の地元に帰りました。その後、地域のコミュニティセンターで「子どもからパソコンを買ってもらったけど使い方がわからない」というような60?80歳の参加者にパソコンの使い方を教えるボランティアを始めました。今後は農家の人のためにボランティアでパソコンを教える事を考えているそうです。
 
「何かを伝えて、どのように他の人がその知識を吸収していくかをみるのは本当に楽しいです。それがボランティアをやる原動力になります。」とアンデッシュさんは言っています。
 

まとめ

 
全く新しい環境に身をおいて刺激を求めたり、自分の経験を活かしてボランティアを行ったりと、様々ですが共通しているのはまだ活躍したい、人のために役立ちたいという思いだと思います。ボランティア活動は必ずしもお金に還元されるわけではありません。しかし、ボランティア活動にはお金では測れない価値があるようです。ビルギッタさんやアンデッシュさんが言っているように、人が喜ぶ姿や成長する姿を見ることがボランティアをする原動力になっているようです。そしてボランティア活動をすることが自分自身の価値を高めることに繋がっているようです。

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