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ヨーロッパ高齢者事情研究のため、2007年2月ストックホルムシニアライフ研究所を開設しました。
現地から最新の高齢者事情をレポートします。

2014年の高齢者福祉に関する政府方針

松下泰志(Taishi Matsushita: 2012/1-), セスレ真美(Mami Sessle: 2011/11-2011/12),
ローベリ亜佐子(Asako Raberg: 2011/1-2011/10), ダールマン容子(Yoko Dahlman: 2007/2-2010/12)   

 今年も昨年同様、政府から2014年の高齢者福祉に関する重点項目が発表されましたのでレポートしたいと思います。

 

新年の抱負

 
新年ですので、本題に入る前にスウェーデンのシニアの新年の抱負を少しご紹介したいと思います。
 
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マルヤ・マルマーク さん(70歳)看護師
「自分を大事にして、旅行して、友だちと会って、音楽を聴いて、そして、仕事量を減らして1年を過ごしたいです。」
 
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ビオラ・コンドラキ さん 年金生活者
「去年はダイエットをしてトレーニングをして健康を保つという目標を立てましたが、今年は特に目標を立てなくていいかなと思ってます。」
 
 
「よくある新年の目標」をスウェーデンの大手調査会社が調べた所、トップは「健康的な食生活を送る」だったそうです。そして2番目は「トレーニングを始める」というもの。この2つが非常に多いようで、以下、ストレスを減らす、もっと本を読む、家計をしっかり、アルコールを減らす、家族・友人のための時間を増やす、たばこをやめる、と続いています。
 
 

2014年の高齢者福祉に関する政府方針

 
閑話休題。新年を迎え、昨年同様、スウェーデン政府より2014年の高齢者福祉に関する指針および重点項目が発表されました。
 
2013.01.24付レポートでもお伝えしましたように政府が目指しているものは、「社会参加、幸福・健康、選択の自由」をキーワードとし、高齢者がアクティブに生き、常に社会と関わりを持ち、安全で自主独立した日常生活を送れるようにするということです。また、すべての高齢者が尊厳を持って生きることができ、十分な医療・介護が受けられるようにし、すべての人が健康であると実感できるようになることです。住宅や質の高い医療・介護を国民に提供することも目指しています。
 
 

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前述の基本指針をもとに今年(2014年)の重点項目が下記のように決まりました。
 
1. 高齢者のための一貫したケア
政府は病気の高齢者のケアを改善するために、43億クローナ(約600億円)の予算を組んでいます。診療に関する補助を明朗なものにし、薬の使用を適切なものにする、医療機関と高齢者介護機関の連携(一貫したケア)が容易になるようにする事を目指しています。
 
2. 選択の自由
2013年の方針にも盛り込まれていましたが(2013.01.24付レポート参照)、引き続き「選択の自由に関する法律」をもとに、国民に多くの選択肢を提供することを目指しています。政府が国民に多くの選択肢を示し、各個人が自分の置かれている状況を望むようにコントロールすることができるようになることは非常に重要であると政府は考えており、これらについて2013年に引き続きさらなる努力をすることにしています。
 
3. 介護関係者の能力開発
こちらも2013年の方針に盛り込まれていましたが、引き続き介護関係者の教育に力を入れていく方針です。
 
4. 住宅
去年に引き続き高齢者のための住宅の確保に力を入れる方針です。
 
5. 高齢者福祉に関する価値観の共有
こちらも2013年の方針に盛り込まれていたもので、2014年も引き続き、政府としては地方自治体が高齢者介護などに関する活動を引き続きサポートする方針です。すべての地方自治体が政府の指針に基づき活動を行うようにし、高齢者が尊厳を持って、幸福に生きて行けるようになることを目指しています。
 
6. 家族のサポート
こちらは今年新しく盛り込まれたものです。2013.05.31および2013.06.18付のレポートでもお伝えしましたが、近年介護をしている人をサポートする動きが広がっています。2014年は家族のサポートに力を入れる方針です。
 
7. 認知症
認知症などによって判断能力が低下しているの人の法的保護と支援。
 
8. 高齢者への暴力対策
高齢者への暴力に関し特別な注意を払うことにしています。現場で起こっている事例を調査・分析し、改善する予定です。
 
 

家族のサポート

 
前述のように家族のサポートが非常に重要視されています。そのため、家族のサポートに関する予算が割かれています。
 
昨年に続き児童・高齢者担当大臣を務めているマリア・ラーション氏は、高齢者の介護をする家族の存在は非常に重要であり、政府としても家族をサポートすると言っています。
 
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インタビューで答える児童・高齢者担当大臣 マリア・ラーション
 
 
スウェーデンにある国家家族問題研究拠点は2008年から政府が運営し、高齢者とその家族に関する情報を収集・提供しています。当初は高齢者を介護している人のサポートを対象にしていましたが、近年は長期間病気の人の看護をしている人、身体に障害がある人の手助けをしている人などのサポートも行っています。政府はこの活動を重視しており、200万クローナの補助(合計、年750万クローナ)を決めました。国家家族問題研究拠点に200万クローナ(約3000万円)の追加予算を提案されています。関連する機関にも計500万クローナ(約7500万円)を補助する予定です。
 
 

まとめ

今回のレポートは年の始めということで、スウェーデン人シニアの新年の抱負、高齢者介護に関する2014年の政府指針についてご報告いたしました。今年の高齢者福祉に関する重点項目の特徴は、半分が昨年から引き継がれた項目で、複数年にわたって継続的な活動を行っているということでしょう。また、新しい項目として家族のサポートが挙げられたのは新しい兆候と言えるでしょう。
 

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