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ヨーロッパ高齢者事情研究のため、2007年2月ストックホルムシニアライフ研究所を開設しました。
現地から最新の高齢者事情をレポートします。

ユニークなシニア向け住宅

松下泰志(Taishi Matsushita: 2012/1-), セスレ真美(Mami Sessle: 2011/11-2011/12),
ローベリ亜佐子(Asako Raberg: 2011/1-2011/10), ダールマン容子(Yoko Dahlman: 2007/2-2010/12)   

 今回のレポートでは、ユニークなシニア向け住宅についてお伝えしたいと思います。

 

ユニークなシニア向け住宅1

スウェーデン第二の都市ヨーテボリにはこれまでにないコンセプトに基づいて作られたアパートがあります。アパートにはホテルのようなロビー、入居者専用の大きな共有リビング、図書館、新聞コーナーがあり、共有スペースで他の入居者と話をしたり、テレビ観賞をすることができます。社交的な雰囲気で、他のアパートにはない雰囲気になっています。
 
このアパートはシニア向けですが、入居者はシニアだけではありません。もともとは55歳以上のシニアを対象に入居者を募集する予定でしたが、シニアにインタビューをしたところ、若い人と同じようなセキュリティとコミュニティを望んでいることがわかったので、若者も入居できるようにしたということです。18歳の入居者もいます。年齢制限はありませんが、小さな子供がいる30?40歳の家族はいないそうです。子供に適した環境ではないのでそういった家族は受け入れていないそうです。
 
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共有のリビングルーム
 
従来はホテル型高齢者住宅(24時間対応のサービスハウス)のように生活・医療など安全に関することをしっかりサポートするタイプか通常のアパートの両極端でしたが、このアパートは安全性(医療などのサポート)は普通の住宅よりはしっかりしているものの、高齢者向け住宅のそれほどではない、ホテル型のようなところもあるけれども、それよりは普通のアパートに近い、という中間的な位置づけになっています。以前は1階部分には診療所や店舗が入っていましたが、入居者をより多くし、ソーシャルアクティビティが活発になるように改装後は住居区域、共有スペースにしたそうです。
 
このアパートは従来からある「共同住宅」ではなく「ライフスタイル住宅」と呼ばれています。「老人ホーム」には入りたくないけど、他の人と触れ合うことができて、安心してすめるところを求めているシニアの注目を集めているようです。また、月約4500円払えばジム、サウナ、シアタールーム、娯楽室などを利用することができます。入居者の半数以上が利用しているそうです。
 
 

ユニークなシニア向け住宅2

次にご紹介するのは大きな植物園風の中庭があるアパートの紹介です。コの字型のアパートの中心部に1600平米の植物園風の共有スペース(中庭)があるというものです。このスペースで住民が交流できるようになっています。中庭は「北欧」、「地中海」、「日本」、「熱帯地方」の4つのモチーフで構成されています。中庭には屋根があり、寒い冬でも常夏の雰囲気を味わうことができます。
 
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中庭
 
 
子供が独立してもう家にいない55歳以上のシニアをターゲットにしており、このタイプのアパートはすでにスウェーデン全国に10ヶ所近く建設されています。販売会社(Bovieran AB)よると2014年2月現在、5ヶ所は完売、8箇所は入居者募集中か1?2年以内に入居者の募集を開始する物件、そのほかにも新たに全国15ヶ所で建設予定とのことです。
 
 
外観
 
最初のアパートは2009年に完成し、今では非常に人気があり、見学希望者が殺到。募集開始から2週間で完売した地域もあったそうです。価格は部屋の広さ(1LDKまたは2LDK)や立地にもよりますが、1500万円?3000万円程度です。会社の担当者によると、どこでもまったく同じ設計にすることでコストダウンをはかっているとのこと。
 
設計に携わったヨーラン・メルベリィさんは自身も70歳のシニアで、自分が将来どのようなところに住みたいかを考えた結果このコンセプトにたどり着いたそうです。12ヶ国で特許をとり、海外展開も考えているそうです。
 
 

日本への関心

本題からそれますが、前述のように日本をモチーフにした中庭が造られていることからもわかるように、スウェーデン人は日本に非常に興味を持っています。若い世代ではアニメ、中年の人には村上春樹の著作などが人気でそのほかにも日本酒、日本の政治・文化などについて日本人でも驚くような知識を持っている人もいます。そして、シニア・高齢者にとっては「沖縄」が長寿の地域として知られており、関心の的です。沖縄の人の長寿についてはスウェーデンでもテレビなどで紹介されています。
 
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スウェーデンのシニア向け雑誌で紹介された沖縄のトヨカワ・トミさん(98)、ネモト・コウユウさん(90)、マツタケ・チヨさん(100)写真:オッケ・エリクソン
 
最近も医療・健康関係のジャーナリストでスウェーデンの大手新聞紙などにも寄稿しているグニッラ・エルドー氏が沖縄を訪れ、沖縄の風土・文化・高齢者の生活などをスウェーデンのシニア向け雑誌上でレポートしています。そして、沖縄の人の長寿の秘訣を次のようにまとめています。
 
食事:
良いものを少しだけ食べる。自家栽培の野菜と脂肪の多い魚を食べる。肉はほとんど食べず、食べるときもよく焼いたものを食べる。そして「腹八分」に食べる。
 
運動:
沖縄の高齢者は体操したり、散歩したり、畑仕事をすることで常に運動している。
 
精神的な安定:
リラックスをして楽天的に考え、家内安全を考えることができる。
 
社会的な仲間意識:
必要に応じて助け合い、安心してすごしている。孤独ではない。
 
 

まとめ

今回のレポートではユニークなシニア向け住居を2つほどご紹介しました。シニアに限らず住居はスウェーデン国内ではいつも関心の的で、選挙のときなどにも必ず争点になります。さまざまなタイプの住居ができて、選択肢が増えるのは利用者にとって大変良いことだと思います。今後もどのようなタイプの住宅ができるのか注目したいと思います。
 

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