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ヨーロッパ高齢者事情研究のため、2007年2月ストックホルムシニアライフ研究所を開設しました。
現地から最新の高齢者事情をレポートします。

高齢者向けの食事について

松下泰志(Taishi Matsushita: 2012/1-), セスレ真美(Mami Sessle: 2011/11-2011/12),
ローベリ亜佐子(Asako Raberg: 2011/1-2011/10), ダールマン容子(Yoko Dahlman: 2007/2-2010/12)   

 今回のレポートでは、高齢者向けの食事とその配達方法について、いくつかの取り組みをお伝えしたいと思います。

 
 

配達方法

 
高齢者向けの食事を自宅へ配達する方法は自治体によって少しづつ違いますが、スウェーデン南部のある町では先月、高齢者が週に一度まとめて冷凍食品を受け取るか毎日温かい食事を届けてもらうかを選択できるようにするという決定をしました。選択肢を増えたことによる費用の増加は避けられませんが生活形態が多様化する中、このように選択肢が増えるのは利用者にとっては喜ばしい限りでしょう。
 
また、別の自治体では高齢者の家への食事の配達をこれまでのホームヘルパーによる配達ではなく、民間の宅配業者による配達に切り替えました。ホームヘルパーによる配達ですと、基本的に一人一軒、あるいは離れた場所を掛け持ちして、慌ただしく届けることになってしまい、効率に関してはどうしても悪くなってしまいます。自治体の狙いは、一人の人間(宅配業者のドライバー)が一度に多くの家庭に配達することで、効率を良くするということのようです。新しいシステムでは8人のドライバーで全てをカバーするようです。注文の方法としては、メニューが掲載されている申込用紙を使ってドライバーに事前に注文し、その後請求書が送られてくるというシステムのようです。配達日は月、水、金曜の週三日で、配達されない日の分の食事は冷凍保存する事になります。「食べ物が古くなると感じる人もいるようですが、そんなことはありません」とは担当者の談です。
 
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高齢者向けの食事を届ける宅配業者
撮影:アンキ・ハーグルンド
 
ただ、このシステムの変更によってサービスを受ける高齢者とその家族はどうなるかと少し心配しているようです。ホームヘルパーを派遣している会社にはこの件について、色々相談が入ってきているようです。ヘルパー派遣会社としてはこれまでどおり高齢者から要望があれば食事の補助もするとのことです。
 
この町の決定には賛否両論あるようです。また、料金システムなどがまだ周知されていないようで、利用費が高くなるのではといった声などがあるようです(実際には料金はこれまでと同じだそうです)。また、認知症などで次回の食事の注文ができない人はどうするのか?といった疑問を持っている方もいるようです。それに対しては、その部分はこれまでどおりホームヘルパーが手伝えばよいということのようです。いずれにしても、利用者・自治体ともしばらくは新しいシステムの様子見といったところでしょうか。
 
 

インターネットで購入

 
高齢者向けの食事に限ったことではありませんが、食べ物をインターネットを通して買うという方法ももちろんあります。シニア世代がインターネットを利用しての食品の購入についてどう思っているかについて、調査結果があります。この調査では56?80歳をシニア世代としています。それによると56%の人が通常のスーパーマーケットなどでの買い物と比べてインターネットでの購入は特に利点はないと答えています。この数字は他の若い世代に比べ約倍の数字になります。一方、インターネットを利用して食品を購入しているシニアはその利点として、1)時間の節約、2)重たい荷物を家まで運ばなくてよい、3)24時間いつでも購入できるということを挙げています。
 
また、配達料にどれくらい払うかという件についての調査結果があります。その結果シニア世代の人ほど払いたくないと答えた人が多かったようです。比較的経済的余裕があると思われるシニア世代の人があまり払いたくないというのは少し以外なような気もしますが、調査結果によるとシニア世代の50%以上の人が、無料で配達すべき、30%の人がある一定額以上購入した場合は無料にすべきと答えています。無料で配達すべきだと考えているシニアは若者世代(15?22歳)に比べ約2倍いることになります。
 
 

児童・高齢者担当大臣の提案

 
このシニアレポートでも過去に何度か名前が出てきた、児童・高齢者担当大臣のマリア・ラーション氏が先日(2014年3月5?6日)開かれたシニアに関するメッセに出席しました。その席で、高齢者の食事についてもディスカッションが行われました。大臣は高齢者介護の中で満足度が低いものとして、いつも「食事」が挙げられると言っています。大臣は自身が所属する政権与党の一つであるキリスト教民主党の公約として、高齢者の食事の改善のために年15億円を当てると言っています。そして市の給食センターで調理したものを届けるだけでなく、民間のレストランで調理したものも届けることができるようにしたいと言っています。
 
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メッセに出席したマリア・ラーション児童・高齢者担当大臣
撮影:スウェーデン・ラジオ/テレセ・エディン
 
 

ベスト・フード

 
ハーボという町にあるハーボフード(Habo Kost)は学校や高齢者住宅などに提供する食事を調理している、市が管理する給食センターです。このハーボフードが作る高齢者住宅向けの食事が「ベスト・フード」として、スウェーデン退職者協会から選ばれました。これは高齢者の食事を少しでも良いものにしようとする活動の一環です。「料理の鉄人」として有名で高齢者住宅の質の低い食事を厳しく批判しているレイフ・マンネルストレーム氏もハーボフードにお祝いに駆けつけたようです。
 
2014年3月26日(このレポートが提出・掲載されてから数日後になるかと思います)には料理長がストックホルムで開かれる表彰式に出席するそうです。
 
ベスト・フード賞を受賞したハーボフードのスタッフのコメント:
「この仕事が好きですし、責任をもってやっています。賞がとれたことは本当に良かったと思ってます。沢山の方から称賛の言葉を頂きましたし、ここでは自由にやらせてもらってます。(なにか受賞のお祝いをするんですか?)もうケーキは食べちゃいましたけど、受賞記念のディナーを考えてます。」
 
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ハーボフードのスタッフとレイフ・マンネルストレーム氏(中央)
撮影:ヨンショーピング・ポステン/ヨハン・リンドブロム
 
 

まとめ

今回のレポートでは高齢者への食事の配達などについてお伝えしました。色々試行錯誤している段階ですが、少しでも良くしようという思いは皆同じかと思います。行政、民間業者、現場の人たち、皆さん一丸となって少しでも良いサービスを高齢者の方に提供できるように頑張っていらっしゃいます。
 

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