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ヨーロッパ高齢者事情研究のため、2007年2月ストックホルムシニアライフ研究所を開設しました。
現地から最新の高齢者事情をレポートします。

シニア向けカルチャー

松下泰志(Taishi Matsushita: 2012/1-), セスレ真美(Mami Sessle: 2011/11-2011/12),
ローベリ亜佐子(Asako Raberg: 2011/1-2011/10), ダールマン容子(Yoko Dahlman: 2007/2-2010/12)   

 そろそろ「芸術の秋」。今回のレポートでは自治体などが関わっているシニア向けカルチャーのプログラムに関する話題をお送りしたいと思います。

 

シニアカルチャープロジェクト・トゥルク市

先ごろお隣フィンランドのトゥルク(スウェーデン語名:オボ)という町でスウェーデン系フィンランド人が中心となり、シニアカルチャーというプロジェクトが行われました(フィンランドにはスウェーデン系の人も数パーセント住んでおり、フィンランド語とともにスウェーデン語も公用語になっています)。市内の4つの高齢者施設と協力して行われたものです。シニアの人たちに文化的活動を体験してもらうべく、1年間で次の5つのプログラムが用意されました。

 

・人形製作

・日本食の旅

・香り

・ファッション

・街歩き

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人形製作の様子          日本料理教室

 

香りに関するプログラムではアロマテラピーに使われるような香りを作製している工房を訪ねたり、香りに関する思い出などを語り合ったりしました。また、「日本食の旅」プログラムは料理教室で日本の家庭料理を習い、日本の文化について語るというものでした。

 

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ファッション 街歩きの解説

 

街歩きのプログラムはガイドをしてもらいながら街を歩くというものです。その様子はビデオで撮影され、施設に戻ってから訪れた場所などについて、大型スクリーンを使って説明してもらいます。

 

このようなプログラムはもともと「芸術の秋」の季節に行われていたものでしたが、徐々に規模を拡大して年間を通して行われるカルチャー活動として成長してきています。

写真出典: http://seniorkultur2013.wordpress.com/

 

欧州文化首都2014・ウメオ市

このような街ぐるみの文化的活動はスウェーデン国内でもいろいろなところで行われています。例えば、スウェーデン北部の町ウメオは今年(2014年)ラトビアのリガとともに欧州文化首都に選ばれています。文化的な事業が年間を通して行われており、そのひとつとして「シニア向けカルチャー・文化と健康」と銘打ったシニア向けカルチャーのプログラムがあります。3年間続けられる予定で、その後定着することが期待されています。期間中には、音楽やダンス、医療・介護現場でのカルチャーの役割に関するセミナーなどが開かれます。

 

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スウェーデンでは2025年までに人口の1/3が60歳以上になると予想されています。それに伴う医療費などの増加は2040年には270%になると見込まれています。このようなことから国・自治体としても国民の健康にこれまで以上に注意を払っています。これまでに健康と文化的活動の係わり合いに関する研究が多くなされており、病気の予防・リハビリなどで重要な役割を果たすと考えられています。このような背景から、今後自治体が積極的に文化的活動(特にシニア向け)を後押しすると考えられます。

 

写真出典:http://regionvasterbotten.se/

 

カルチャー党・ダンデリード市

このレポートを書いている2014年9月はスウェーデンでは選挙真っ最中です。スウェーデンでは4年に一度、同じ日に国会、県議会、市議会の選挙が行われます。ストックホルムの北に位置するダンデリード市では今回の選挙前にカルチャー愛好団体がカルチャー党という政党を立ち上げ、市議会での議席獲得を目指しています。もともとは市内にあるシニアや芸術家を中心とするカルチャーの愛好団体のようなものでしたが、街のカルチャーを推し進めるべく今回政党を立ち上げたようです。

 

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カルチャー党のみなさん

写真出典:http://www.mitti.se/

 

ダンデリード市は高所得者層の閑静な住宅街がある街というイメージが一般的です。所得税率が他の市に比べ低いこと、教育の水準が高いことなどでも有名です。しかしながら、カルチャーに関してはそれほど予算を割いていません。例えば2012年における住民一人当たりのカルチャー関連の予算は86クローナ(約1300円)で周辺都市の750クローナ(約11000円)、416クローナ(約6200円)などと比べるとかなり低いと言わなければなりません。この理由を市議会の最大会派の議員に聞いたところ、周辺の都市にストックホルムを含むカルチャーに強い街が多く、対抗できる余地があまりないことが理由だとのことです。こういった消極的な姿勢に一石を投じるために立ち上げられたのが、前出のカルチャー党です。これまで市議会においてカルチャーに関する議論は常に後回しにされてきたため、もっと積極的に議論をすることを目的として立ち上げられました。このレポートを書いている時点ではまだ選挙結果は出ていませんが、さて、カルチャー党、議席獲得となるでしょうか?

 

まとめ

今回のレポートではシニアのカルチャー活動(プログラム)についてお伝えしました。今回のレポートに見られるように最近では、シニア向けカルチャー活動が活発で、街を挙げて文化創造の機運を高めようとする動きが見られます。

 

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