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ヨーロッパ高齢者事情研究のため、2007年2月ストックホルムシニアライフ研究所を開設しました。
現地から最新の高齢者事情をレポートします。

2015年の高齢者福祉に関する政府方針

松下泰志(Taishi Matsushita: 2012/1-), セスレ真美(Mami Sessle: 2011/11-2011/12),
ローベリ亜佐子(Asako Raberg: 2011/1-2011/10), ダールマン容子(Yoko Dahlman: 2007/2-2010/12)   

 ここ数年、毎年1月のレポートでは政府の方針についてお送りしていましたので、今年も政府の方針に関するレポートをお送りします。ただし、今年は「政府の方針」ではなく「政府の方針に関する」レポートとなります。その理由については本文をお読みいただきたいと思います。

 

新年の目標

 

新年ですので(このレポートは2015年1月のものです)まずはじめに昨年同様、スウェーデンのシニアの新年の目標を少しご紹介したいと思います。

 

Q. 新年の目標は何か考えましたか?

A.

「考える時間がなかったわね。いまのままで満足してるからさらに良くするにはどうしたらいいのかしら?でもキャンディーを食べる量をちょっと減らしたほうがいいかもね」(オーセさん)

「そうね。それからランニングマシーンで、もうちょっと長い時間走ろうかしら」(お友達のエリザベートさん)

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写真: パトリック・パーション

 

 

A.

「いや、そういうのを考えるにはもう年を取りすぎてるからね。やるとすればガン基金に寄付するとかかな。あとは周りの人に優しくすること。それから鳥に毎日えさをやること。それから散歩中に自然に触れること。実は何年か前、義兄と一緒に一年間ひげをそらないっていう新年の誓いを立てたんだけど、3?4週間が限界だったね。奥さんが寝室に入れてくれなかった(笑)」(クリステルさん)

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写真: サラ・ヨハリ

 

昨年のレポートでも書きましたようにスウェーデンで「よくある新年の目標」は「健康的な食生活を送る」、「トレーニングを始める」というもので、最初のお二方はまさにそのとおりでしたが、ひげをそらないという目標を立てる人がいるとは思いませんでした。

 

 

新政権

さて、皆様も報道等でご存知かもしれませんが、昨年、2014年9月にスウェーデンで行われた総選挙で、8年ぶりに中道左派連合が政権を奪取しました。それに伴い、児童・高齢者担当大臣も入れ替わり、与党スウェーデン社会民主労働党のオーサ・レグネール氏が入閣しました。男女平等問題が専門で、以前社会民主労働党、ヨーラン・パーション政権時代に政権のブレインを勤めていました。男女平等担当大臣も兼任しています。

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オーサ・レグネール 児童・高齢者 兼 男女平等担当大臣

写真:ソーレン・アンダーション

 

このレポートは「2015年の高齢者福祉に関する政府方針」と題したレポートですが、残念ながら今年はまだはっきりと決まっていないと言わなければなりません。

 

昨年9月にスウェーデン社会民主労働党および連立を組んでいる緑の党(中道左派連合)が政権を奪取したとはいえ、過半数に達しておらず、昨年与党が提出した予算案が通りませんでした。そのため、スウェーデンでは五十数年ぶりとなる解散総選挙を行うことが表明されましたが、昨年末(2014年12月)、与野党が合意し、土壇場で回避されました。2015年1月現在、中道右派連合のほうも過半数に達しておらず、第3党である極右政党(スウェーデン民主党)がキャスティングボートを握る形となっています。スウェーデン民主党が勢力を拡大しているとはいえ、それに抵抗を感じる人が圧倒的に多く、中道左派、中道右派連合ともにスウェーデン民主党とは絶対手を組まないと明言しています。そのため、政治が非常に不安定な状態になっています。今のところスウェーデン民主党にキャスティングボートを握らせないようするために中道左派・中道右派がスウェーデン国内の政治を安定させることで合意した形です。

 

こういった状況は高齢者福祉の政策にも当然影響してくるといえるでしょう。昨年および一昨年の年頭のシニアレポートでは「今年の高齢者福祉に関する政府方針」をお伝えしましたが、今年はこのように政治が若干不安定で、予算の配分や方針がまだはっきりとしていません。また、与野党間だけではなく、政権与党の社会民主労働党と緑の党の間にも若干温度差があるため、高齢者福祉に関する予算・方針を含め、難しい舵取りを迫られることになりそうです。当面は与野党が協議し、合意した上で予算なり方針なりが決まることになると思います。

 

新政権は高齢者福祉に関しては今年(2015年)中に幅広く意見を聞いて、新たな方針を打ち出すと表明しています。前述のオーサ・レグネール児童・高齢者担当大臣も退職者協会のインタビューの中で、退職者協会を含めさまざまな団体、組織から意見を聞きたいと述べています。

 

まとめ

今回のレポートは年の始めということで、まずはじめにスウェーデン人シニアの新年の目標をお伝えしました。そして新年の政府の高齢者福祉に関する方針のかわりに現在のスウェーデンにおける政治情勢についてもお伝えしました。政治的には難しい舵取りを迫られるかもしれませんが、福祉を享受する高齢者たちが満足するような高齢者福祉政策を立ててくれることを願っています。

 

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