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シニア・高齢者向けアクティビティ

今回はシニア・高齢者向けのアクティビティとして、美術館・博物館での特別見学会、シニア向けのフィットネス、チェスについてお伝えしたいと思います。

美術館・博物館の取り組み

認知症を防いだり、進行を遅らせるためには社会的な活動に積極的に参加することが良いと一般的に言われています。スウェーデンでは全国88の美術館・博物館が、認知症の人および付き添いの人が来館しやすいように、特別な見学会をアレンジしています。先月(2015.04)は37の美術館・博物館が認知症の人のための特別な見学会をアレンジするための補助金をスウェーデンアルツハイマー基金から得ました。これまでの2年間で計約700の特別見学会が5000人近くの認知症の人のために開催されました。   アルツハイマー基金の事務総長のヤンソン氏は「補助金を交付することにより、美術館・博物館が認知症の人向けの見学会を引き続き開催することを期待しています。将来は、美術館・博物館に恒久的に取り組んでいただきたいと思っております。芸術や文化が感覚を刺激し、脳を活性化することが知られています。絵画やオブジェを鑑賞することで失った記憶がよみがえるかもしれません」と言っています。  

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美術館での特別見学会の様子 写真: リュングベリィ美術館  


 

シニアフィットネス

最近、シニア向けフィットネスがブームになる兆しがあります。シニア向けのフィットネスは需要が増え続けており、クオリティーの高いフィットネスが求められています。アクティブエイジというジムではシニア向けフィットネスを促進しており、トレーナーの育成にも力を入れています。シニア向けフィットネスのトレーナーを育成することで、個別のニーズにこたえ、それぞれの顧客にあったプログラムで質の高いトレーニングを提供することを考えているようです。このジムではフィットネスの経験者・未経験者を問わず、多くの人にフィットネスをしてもらうことを目指しています。また、ジムだけではなく、家や野外でもトレーニングができるようになることを考えているようです。また、ただ単に体を動かすだけではなく、シニアの生活がより豊かなものになるように、グループで楽しく運動をして、ソーシャルアクティビティの要素も取り入れることを重視しています。   「高齢者が運動・フィットネスをすることはリスクが伴うのでは?という質問を良く受けますが、その心配はありません。最近の研究で、高齢者のトレーニングは危険ではないということがわかってきています。運動をしない場合のリスクの方がよほど高いと言えます」と同ジムの最高執行責任者(COO)のヴァリン氏は言っています。また、最高経営責任者(CEO)のエクヴァル氏は「シニア向けフィットネスでは転倒などを防ぐために、筋肉を鍛えるのが一番良いと思います。高齢になっても安全で楽しい暮らしができることを目指しています」と言っています。実際、スウェーデンでは毎年約17000人の高齢者が転倒によって、大腿骨骨折などの重度のケガをおっており、約1500人の高齢者が転倒が原因で亡くなっており、高齢者にとっては最も不安な要素になっています。   このほかにも様々なジムがシニア・高齢者向けのプログラムを用意しています。イトリムというジムはスウェーデンのほかにアメリカ、ドイツなどにジムを展開しています。このジムは、エキササイズに加えて食事などのアドバイスも行っており、シニアに人気があります。

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シニア向けグループトレーニングでの一こま 写真: SATS  


 

チェス

将棋、囲碁といったボードゲームは多様な思考法、戦略的思考などが養うことができるため、脳に良いといわれています。日本では将棋、囲碁が盛んだと思いますが、スウェーデンではチェスが盛んに行われています。今月(2015.05)ギリシャで行われたヨーロッパシニアチェス選手権には3人のスウェーデン人が参加しました。ストックホルム市内の文化センターには常設のチェスコーナーがあります。また、ストックホルムにあるシニアのチェスクラブは毎週3回活動を行っています。  

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チェスクラブの様子 写真:シニア・チェス・ストックホルムHPより

   チェスクラブでのグループ活動に参加することで、交流を深め、ソーシャルアクティビティを高めることができる上、チェスをすることで脳のトレーニングにもなるので、一石二鳥といえると思います。チェスをするときは皆さん真剣にされていますが、チェスクラブに参加しているグンダーセンさんは「何よりも楽しむことが一番大事だ」と言っています。  

まとめ

今回は、最近目に付いたシニアの活動をご紹介いたしました。心身ともに健康で充実したシニアライフを送るために皆さん、さまざまな活動をされています。美術館で絵画を鑑賞し、ジムで体を鍛えて、チェスで脳を鍛えれば完璧といったところでしょうか?