今回のレポートでは、新年ですので(このレポートは2017年1月のものです)まずはじめに昨年同様スウェーデン人シニアの新年の抱負を少しご紹介したいと思います。そして、スウェーデン人シニアの気ままな旅についてご紹介したいと思います。
マーヤさん 写真:ヘンリー・ルンドホルム
看護師として働いているマーヤさん(70歳)は、もっと自分を大事にして、働く量を減らしたいです。 旅行したり、友達と会ったり、音楽を聴いたりしたいです、と言っています。
アンネ-マリーさん 写真:クララ・アルブンゲール
アンネ-マリーさんは昨年は、劇場・オペラといったような文化的なものに触れる機会を増やすという目標を立てて、実際にそうしたそうです。 今年はまだ特に目標は立てていないけれども、働きすぎないことかな、と言っています。 スウェーデンの人はやはり、効率的に働いて、働く時間をできるだけ減らしたいと思っている人が多いようです。
それでは、本題。今回は世界中を着の身着のまま旅する男性五人組のスウェーデン人シニアを紹介したいと思います。「Löses På Plats (レーセス・ポ・プラッツ (現地で解決)」、略してLPPと名づけられた旅です。 この5人はもともと同じ町の出身で、1970年代まではその町に一緒に住んでいた仲だったそうです。全員もともと環境問題に関心があり、反原発などの環境問題に取り組んでいました。時には一緒にカヌーを漕いだり、料理をしたり、また、あるときは地元のバスの終点まで乗るというようなことをしていたそうです。 そんな中、2003年に仲間の一人が脳卒中になり、手遅れになる前に、どこか遠くに旅に出たいと思いたったそうです。ペルーのマチュピチュに行きたいと思ったそうです。仲間はすぐに立ち上がり、旅行に出かけたそうです。これが世界中を旅することになる最初のきっかけだったそうです。それ以後、これまでの十数年間で、自然が多い田舎を中心に27カ国訪問したそうです。 はじめのうちは旅行に出る前に計画を立てていたそうです。しかし、ルート、旅程などについて綿密な計画を立てても初日で予定通りに行かなくなったりしたそうです。そして計画を立てている途中で、「どうやって解決しようか」といったことも考えるようになったそうです。結局出した答えは「現地で解決すればいいじゃないか」でした。これがLPP(現地で解決)の旅の始まりです。 その後、アゼルバイジャンのどこかでバスに乗ってたり、寝る場所の当てもない旅をしたり、ルーマニアでのぎゅうぎゅう詰めのタクシーに乗ったり、キルギスタンでペットボトルからのシャワーを浴びたりしたそうですが、そういった旅の中で助けてくれるいろんな人に出会えたそうです。
5人組シニア 写真:個人蔵
そんな旅の中でいくつか縁起を担いでいることがあるそうです。一種のジンクスで、 ・空港を出たら左に行く ・待つときは座って待つ ということをしているそうです。そうすると必ず問題が解決されるそうです。そういった信仰のようなものを持つと、今まで知らなかったなんともいえない感覚を持つようになったそうで、そういった感覚も面白いものだと感じるようになったそうです。 そして、先頭を歩く人が選んだ道を行き、他の人はそれに絶対反対してはいけない、という決まりもあるそうです。あるとき仲間の一人が先頭を歩き、空港を出たとき、しきたりに反して、右に曲がったそうです。それでもそれが良いことに繋がると信じてそれに従ったそうです。何事も信じることが大事だそうです。
他にもこのLPPの旅に一緒に行きたいと言う人もいるけれども5人がちょうどいいそうです。また、普段は奥さんたちと一緒に旅もするけど、このLPPの旅は別だそうです。5人で旅をしていても、喧嘩をしたり、イライラしたりすることはないそうです。 前述のように信じて、一種の信仰のようなものを持っていればそういったことはないそうです。そして、5人いればだいたいどんな状況でも怖い思いをすることはないし、話し相手に困ることもないそうです。旅をしてると時々奇異な目で見られることもあるそうですが、仲間の一人曰く、「所詮年寄り5人なので怖がられることはない」そうです。 この5人組は現地で解決の旅の趣旨とは違う旅もしています。お金を集めて、ネパールで貧しい人のために学校や診療所の修復もしています。
ネパールにて 写真:個人蔵
また、こういった旅をまとめたものが昨年(2016年)一冊の本になりました。
2016年に出版された本 パー・ノード著「LPP現地で解決-共に旅する男たち」
今回のシニアレポートでは、新年の抱負に続き、旅をし、貧しい人たちを助け、本を出版し、とアクティブなシニアライフを送っている5人組の紹介をしました。 筆者も将来こういったアクティブなシニアライフを送ることができればと思っています。