今回のレポートでは、定年退職後会社を立ち上げたシニアたちについてお伝えしたいと思います。
健康寿命が長くなった現在、定年を迎えてもなお働き続けたいと思っている人がたくさんいます。スウェーデンでは定年後、自営業を始める人の割合が増えています。2015年の統計によるとシニア世代の42%が自営業だそうです。定年後また他の人・会社に雇用してもらうのに比べ、いくつかの利点があるようです。 まずはやはり、自分で時間を管理できる、仕事時間・仕事量を自分で決めることができるということのようです。若いころはいつも忙しく、締め切りに追われるような毎日というような仕事スタイルだった人も、定年退職後は新しい機会を利用し、新しい仕事のやり方で仕事をすることがつづけたいとできるので、まだまだ仕事をしたいと思っている人にとってはチャンスがあるようです。
リスベスさん(女性)は市役所で主任を務めていましたが、趣味は裁縫だそうです。仕事をしているときは事務処理、市の予算関係の仕事、調査などの仕事があり、趣味の裁縫にはあまり時間が割けなかったそうです。そのリスベスさんは年金受給資格がある年齢になるとすぐに退職して年金生活に入ったそうです。早く年金生活に入るほど月にもらえる額は少なくなりますが、お金は退職までに貯金していたそうです。 裁縫技術を生かして、趣味が高じて、という形でオーダーメイドの洋服などを作る会社を立ち上げました。リスベスさんによると新しい会社を立ち上げるのは人が思っているほど複雑で難しくはないそうです。 「ベンチャー企業支援センターや税務署に聞けば、いろいろアドバイスしてくれる。必要なときに彼らにただ聞けばいいだけ。」とリスベスさんは言っています。 今は基本的に毎日工房に座って裁縫をしているそうです。結婚式用のドレス、キリスト教の洗礼のときに使う服などを作っているそうです。それに加えて新たに、ガラス工芸の技術を身につけ、ガラス工芸品も作り始めたそうです。 「誰にも指示されることはないし、自分で好きなだけ働くことができる。自由度が高い。役所で働いていたときにはできなかったことです」とリスベスさんは言っています。
リスベスさんの作品
ヘンリーさん(74歳・男性)はシニアの人に特化した引越し業を経営しています。友人と話しているときにシニアの人の要望にこたえるために、シニア層に特化した引越し屋さんが必要だということになったそうです。 そして、現在の引越し業を始めたそうです。奥さんは何でそんなに働く必要があるのかと言うそうですが、ヘンリーさんは娯楽に興じるよりも仕事をしていた方が生きがいを感じるそうです。 ヘンリーさん曰く、「定年後自分の会社を持つことの利点は、好きで仕事をやってるだけで、暮らしのために週に50~60時間も働かなくていいということ。これが一番いい」。 また、アニカさん(65歳・女性)は63歳で介護職を退き、音楽関係の会社を立ち上げたそうです。自分で作詞・作曲した歌の販売などを行っています。時には自分でも歌っているそうです。
アニカさん。アニカさん作製のビデオクリップより
このようにさまざまな人が、定年退職後にいろいろな会社を立ち上げています。
会社設立に関する専門家のビョーン・ルンディエンさんは「定年退職者のための会社経営術」という本を出版しています。
「定年退職者のための会社経営術」 ルンディエンさん曰く、定年後会社を立ち上げたほうが良い理由は次の5つだそうです。 1.定年退職後(65歳以上)は減税されるので、税引き後に残るお金が多くなり、これまでと同じように働かなくても同じ収入を確保できる。 2.働くことで年金の積み立てを行い、将来の年金受給額を増やすことができる。 3.年金は生活保護ではないので、会社経営で稼いだからといって支給額が減るわけではない。 4.経験を生かすことができる。歳をとっているということがデメリットにならない業種がある(コンサルタントなど)。 5.働くことで、若さ、エネルギー、健康を保つことができる。 ということで、定年退職後会社を立ち上げ、働くことは経済面、生きがいなどの精神面両方にとって良いようです。
今回のシニアレポートでは、定年退職後もいろいろな分野での活躍を求めて会社を立ち上げた人たちについてレポートいたしました。やはり、好きな仕事を無理せずやるというやり方が一番良いように思います。 この点に関しては若い世代よりもシニア世代のほうがチャンスがあると思うので、いろんな分野で元気に活躍してほしいと思います。
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