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スウェーデン流「孫との付き合い方」

孫を持つということはうれしいことでしょう。自分の子供ではないので、すべての責任をとることなくかわいい孫と接することができると思っているおじいちゃん、おばあちゃんも多いことでしょう。孫はさしずめ人生のデザートといったところでしょうか。しかし、孫といえども他の人と同様人間関係が大事なようです。今回のシニアレポートではタイトルどおり、スウェーデン流「孫との付き合い方」をお伝えしたいと思います。

助けて、孫ができちゃいました!

最近、「助けて、孫ができちゃいました!(Hjälp, vi har fått barnbarn!)」 という本が出版されました。著者のエリック・シーデンブラドー氏自身は14年前(2002年)に最初の孫ができ、最近7番目のお孫さんが生まれました。シーデンブラドー氏は「新しい生命の誕生は毎回同じように偉大なものです。私と妻は孫が生まれたときには一刻も早く会いに行くことにしています」と言っています。 そんなシーデンブラドー氏は自著の中で、孫との付き合い方で大事なのは柔軟性と距離感であるといっています。孫たちは基本的には親(すなわち自分の子供)に依存しています。ですので、おじいちゃん、おばあちゃんとどの程度、そしてどれくらい身近に接するかは孫自身が決めることかもしれません。ですので、もっと近づきたいと思っても、時には思いとどまって距離感を保つことが重要なようです。 

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孫とどの程度関わるか

おじいちゃん、おばあちゃんが孫と親しくしたいと思うようになったのは比較的新しい現象のようです。以前は日曜日やクリスマスに時々会いに行く程度だったようですが、最近はもっといろいろな機会に孫に会いに行く傾向にあるそうです。シーデンブラドー氏は「以前はおじいちゃんがタバコを吸っているのを遠めに見て、おばあちゃんがあったときにほっぺにキスをしてくれる程度で、それほど近い関係ではなかった」と言っています。

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 著者のエリック・シーデンブラドー氏

 若い世代とおじいちゃん・おばあちゃん世代とでおじいちゃん・おばあちゃんはどの程度孫に関わるべきかというディスカッションが行われたそうです。例えば、おじいちゃん、おばぁちゃんが週に2回孫を幼稚園に迎えに行くのは多すぎるのか、孫を習い事に連れて行ってあげるべきか、といったことです。シーデンブラドー氏は、「どのように、どの程度深く孫と関わるかという問いに対する答えはありません。どれくらい近くに住んでいるかといったことなどいろいろな要因があると思うので、それぞれが自分で答えを見つける必要があります」、また、「おじいちゃん・おばぁちゃんであることを恐れるな。自分らしくあれ。Yes、Noを相手に伝えるのはシニア世代ともなれば難しいことではないし、言いづらければ別の日に言えばいいこと。」と言っています。 また、孫の親の考えを尊重すべきだとして、シーデンブラドー氏は次のように言っています。 「私の義理の娘はベジタリアンなので孫にはホットドックはあげません。ちょっとぐらい体に良くないものを食べたとしてもいいだろうとは思うのですが、孫の親の考えは尊重すべきです。」 「常に一歩引く準備をしておくことが大事で、おじいちゃんとしてもっと孫の近くにいたいと思っても、孫のことを決めるのは孫の親です。おじいちゃんの役目は耳を傾け、理解してあげることだ」

孫の親と同じようにふるまわなくて良い

デンマークの心理学者はおじいちゃん、おばぁちゃんが親とは違うように振る舞うことは良いことだと言っています。 このことについてシーデンブラドー氏は、次のように言っています。 「自分の子供時代を振り返り、いろいろな考え方、異なる趣向を持った大人の親戚に触れたのは良かった」 「孫と親の間に深く入り込むべきではないが、孫と会ったときは自分たちと孫の間に独自の関係を生み出す自由も持っていなければならない。」 「子供にとっては親とは違う大人に触れるのは良い事。必然的に親や孫との付き合い方も変わってくる。 社会、生き方を学ぶことができる。」

8つのアドバイス

シーデンブラドー氏は、自著の中で、孫との付き合い方について、次の8つのアドバイスを書いています。 ・孫と会うありとあらゆるチャンスを逃すな。 ・プライバシーを尊重すべし。干渉しすぎるな。 ・できないことは約束するな。 ・義理の娘・息子にも気を配るべし ・孫に高望みするな。 ・子供、孫に対して自分の意見・立ち位置がしっかり伝わるように振る舞う。 ・甘やかすのはほどほどに。 ・ポジティブシンキングをする。 「これは孫との付き合いに限ったことではないが、思い通りにならなくてもあきらめるな。落ち込むな。ケセラセラの気持ちで次へ向かう事が大事。これはおじいちゃん、おばぁちゃんが身に付けないといけないスキル。やっかいな孫であればあるほどおじいちゃん・おばあちゃんの存在が重要になってくる。」というアドバイスも送っています。 

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スウェーデンの代表的児童文学者・「長くつ下のピッピ」の作者、アストリッド・リンドグレーンと孫たち

シーデンブラドー氏は、「時が経てば経つほど、子供、孫の存在はシーデンブラドー氏の人生の中で重要になってくる。古臭い言い方かもしれないが、終わりのない旅のようなもの。もちろん、子供や孫のいない人生がつまらないというつもりはないが、子供、孫を持つのもいいもの」と言っています。 また、いままでで孫との一番の思い出は?という問いには、 「一言じゃ答えられない。プールで遊んだり、森を散歩したり、ただ座って何かについて語り合ったり、 説明しきれないほどのそういった小さな出来事。これからもできるだけたくさん思い出を作って、心に刻んでいこうと思っています」と答えています。

まとめ

今回のシニアレポートでは、これまであまり取り上げなかった「孫との付き合い方」についてお送りしました。せっかく孫ができても関係がこじれてしまっては残念です。このレポートが、おじいちゃん・おばあちゃん力を付け、楽しいシニアライフを送ることができるようになる一助になれば幸いです。



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