デフォルトコラム画像

シニア向け料理コンテスト

今回のレポートでは、シニア・高齢者向けの料理の向上を目的に行われている料理コンテストについてお伝えしたいと思います。

■コンテスト

高齢になると食欲の衰え、栄養不足などが問題となります。味覚は衰え、歯も悪くなってきます。そういう状況では、栄養があって、食欲が出るような料理の存在が重要になってきます。残念なことに、「シニア向け料理」というとだいたい悪い意味で使われます。例えば、電子レンジで温めるだけの、プラスチック容器に入った味気ない料理というような意味です。 そういった状況を改善すべく、アーラというスウェーデン・デンマークを拠点に乳製品を製造・販売している会社が毎年シニア向けの料理のコンテストを開催しています。シニア向けの他にも、同時に幼稚園児向け料理、学校給食料理のコンテストも開催しています。コンテストのシニア向け料理の部門にはシニア向けの料理を提供しているレストラン、シニア向けの料理を重視しているレストランであればだれでも参加できます。書類審査でセミファイナリストが選ばれ、3チームがファイナリストに選ばれます。そして、その中から優勝者が選ばれます。勝者には正賞であるアーラ金牛賞の他に賞金約50万円が贈られます。 2017年度の優勝チームは、スウェーデン南部にあるボースタッド市の介護福祉施設のレストランでした。2017年度の優勝チームのシェフのミカエル・ラーセンさんはインタビューで「高齢になると若いころに比べ、味覚が30%ほど落ちると言われています。そのことを考え、料理からスパイスを取り除かないようにしています。以前は、スパイスの量を減らしていたのですが、今では逆にスパイスの量を30%増やしています」と言っています。

    

 2017年度金牛賞を受賞したミカエル・ラーセンさん(左から3人目)とそのチーム 写真:イダ・エクルンド  

■2018年度ファイナリスト

2018年度のファイナリストはカテリンホルム市のイーゲルコッテンレストラン、ヨーテボリ市のトレー・スティフテルセルとテービー市のバーダーガ・シルバーパークの三つのレストランに決まりました。この三つのレストランは、規模は大きくありませんが、シニア向け料理をメインにしているレストランです。 イーゲルコッテンは自然素材にこだわっており、数種類のランチメニューとサラダバーから好きなものを選べるようになっています。シェフは色々な味を試すことをお客さんに進めており、夕方にはパブを開いたり、ランチにライブミュージックを提供したりと色々工夫しています。また、年に一度、2日間にわたり、料理祭りを開いています。

   

 イーゲルコッテンの料理

   トレー・スティフテルセルは自家製のパンが売りです。バーベキューやザリガニパーティーなどなど様々なイベントを開催しています。また、イベントを通じて、良い料理を提供するには何が必要かも一つ一つメモしています。 バーダーガシルバーパークでは飼っている4羽の鶏からの新鮮な卵を料理に使っています。また、温室で育てている新鮮なハーブも料理に使っています。また、お皿の端がわかりやすいようにふちを赤く彩ったお皿を使うなど、細かい気配りもしています。

    

 決勝に残ったバーダーガシルバーパーク。視認性を高めるため、お皿のふちに赤い線が入っている。

 2018年度のコンテスト優勝者は2018年5月に決まります。  

■まとめ

今回のレポートでは、シニア・高齢者向けの料理のコンテストについてお伝えしました。こうしたコンテストを通して、質の高い料理をより多くの高齢者の方々に提供できるようになれば良いと思います。