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体を動かそう

今回のレポートでは、エクササイズ・日常生活での運動についてお伝えしたいと思います。これまでにも運動・トレーニングの重要性についてはレポートしたことがありますが、今回は簡単にできる運動方法もご紹介したいと思います。  

■ マグヌス・エリクソン医師のアドバイス

毎年、年末年始は食べ過ぎて、しかも運動不足になりがちです。そして、今年こそは積極的に運動をしようと思い、トレーニングジムに登録したりします。筆者もその一人です。 スウェーデンでのテレビ出演などで知られている医師のマグヌス・エリクソン氏の運動・トレーニングに関する見解を以下にご紹介したいと思います: これまでに運動は健康によく、また、寿命を延ばし、病気を予防あるいは健康を回復するためにも良いという報告が多くなされています。認知症、鬱、心臓疾患などの対策にもなるといわれています。しかし、そもそも病気になってしまったりすると運動することが難しくなります。また、健康であっても、もともと運動をすることが嫌いな人もいます。運動をするということは、長寿や病気予防に対して絶対的な保証はないとはいえ、一般的に良い効果があります。 「トレーニングをしていない」というと「自分の健康に気を使っていない。ダメな人。病気になるのも自己責任」 といった、マイナスのイメージを持たれがちです。また、トレーニングというと何か特別なもので、体のどこそこの部分を強化してという意識をもって、ジムなどで時間を決めてちゃんと行うというイメージが付きまとっています。そして日常生活で体を動かすこと、例えば、バス停まで歩く、掃除・洗濯をする、雪かきをするなどはあまりトレーニングとはみなされません。しかし、これらも立派なトレーニングで非常に効果があります。 病気であったり、精神的に不安定な状況であったりすると普通に体を動かすことは難しくなります。そういった状況ではさらに筋力が弱くなることを防ぐために筋肉を使うことがより一層重要になります。専門的ないわゆる「トレーニング」ではなく、体を単に動かすことも重要です。ここで「体を動かす」というのは筋肉を使う動作すべてという意味です。筋肉を使えば使うほど筋力は回復します。また更に使えば、高齢者でも筋肉を増強することができます。病気などで、通常通り体を動かすことができない場合は、筋肉がさらに弱くなることを防ぐために「筋肉を使う」ということが特に重要になってきます。 高齢者が体を動かすことに関しては、バランス感覚のトレーニング、(骨の)強度、体調がキーワードになってきます。30歳を過ぎると、10年で5~10%の割合で筋肉が衰え、骨の強度も急激に落ちてきます。また筋肉の瞬発力は体のバランスに直結するため、筋肉を強化するだけでなく、その瞬発力も大事になってきます。

    

 マグヌス・エリクソン医師(右) 写真:テレビ番組Kvartersdoktornのホームページより

 医師のマグヌス・エリクソン氏はこのように言っており、1回に30分ほど、汗をかいて心拍数が40~50%上がるような運動(散歩、掃除、スキーなど)をするとよいでしょうと言っています。また、「(ジムなどで)トレーニングをすることは良い、そして(日常生活で)体を動かすことはもっと良い」と言っています。     

■マデリン・モンスソンさんのトレーニング方法

マデリン・モンスソンという名前をどこかで聞いたことがないでしょうか?以前ご紹介したスウェーデン最高齢の女性ディスクジョッキー(DJ)のDJグロリアの本名です(2017.11.15日付レポート参照)。以前のレポートで少し触れましたように、マデリンさんはDJとしてだけではなく、トレーナーとしても活躍しています。マデリンさんは家で簡単にできる、トレーニング方法をたくさん提案しています。シニアでも簡単にできる、あまり体に負担がかからない運動です。今日はその中の一つ、「座ったままトレーニング」をご紹介したいと思います。座ったままのトレーニングですので、汗だくになるようなトレーニングではありませんが、それでも血液の循環や、筋肉増強、バランス感覚を養うのに効果があるとマデリンさんは言っています。それではエクササイズのやり方をご紹介したいと思います。 まずは、背もたれのある椅子に座って、全身の力を抜きリラックスをします。椅子の背もたれに丸めた背中をつけて、腕や肩、脚の力を抜きます。両手は腿のところに置いておきます。ちょっと沈んだような感じで座ります。静かにゆっくり、自然に呼吸します。 次に椅子の前の方に移動します。背もたれから離れて、背筋をまっすぐ伸ばします。少しきつくないですか?これが「アクティブに座る」ということです。これで腹筋を鍛え、姿勢をよくすることができます。肩をリラックスさせてください。目を閉じてエクササイズに集中してください。馬に乗っているようなつもりで、ゆっくりと自然に呼吸します。そしてさらに3回呼吸してから、再び椅子に深く座り、背もたれに背をつけます。少し背中を曲げて、リラックスします。リラックスして座っていることを感じて、背中を休めてください。これでワンセットのエクササイズです。 このエクササイズを毎日、一日数分やってみてください。目標は背もたれなしで「アクティブに座る」状態を疲れることなく、長く続けることができるようになることです。何かが劇的に変わるということはないかもしれませんが、もし長時間座るような生活をしているのであれば、体が弱ります。できるだけ体を動かす必要があります。30分に一回は体を動かしましょう。腕を回したり、膝を動かしたり、少し歩いたりしましょう。それだけでずいぶん違います。 このほかにもキッチンエキササイズというのもあります。普段よく使う食器やコップをあえて高いところ、あるいはものすごく低いところに置くというものです。こうすることで、取り出すたびに屈伸や伸びをする運動をすることになります。こういったちょっとした運動の積み重ねがシニア世代には効果的です。

    

 デモンストレーションをするマデリン・モンスソンさん 写真:クリスチャン・ポール  

■まとめ

今回のレポートでは、日常でのちょっとしたエクササイズの重要性、そのエクササイズの例をご紹介しました。健康な体をキープするために日常生活の中で、こまめに運動をすることを心掛けたいところです。私も意識して運動を生活の中に取り入れようと思います。