2021-08-30 11:28:00

スウェーデンで急増したお年寄りのネットショッピング

スウェーデン在住の松下です。8月20日現在、スウェーデンでのcovid-19のワクチン1回目接種者は、18歳以上で80,7パーセント、2回目で63パーセントとなっています。公衆衛生省は、引き続きcovid-19の拡大防止のための勧告事項がこの秋も引き続き適応されると発表しています。個人的な感想では、この夏、ギリシャやスペイン、国内ではゴットランドなどスウェーデン人に人気の観光スポットへ旅行する家族は少なくはなく、スウェーデンはあたかもパンデミック以前のような様子でした。

久しぶりのレポートになりますが、今回はお年寄りの間で広がったネットショッピングについてお話したいと思います。

パンデミックを機に変化

イェーテボリ大学の調査により、パンデミックを契機に、高齢者のネットショッピングの利用が増えたことが分かりました。70-80歳代のお年寄りは、買い物時の安全性を重視して、インターネットを最大限に利用し始めた世代と言います。この世代の２３パーセントの人が、少なくとも月に1回はオンラインで食料品を購入しています。パンデミック前は１パーセントだったことと比較すると、大きな変化と言えます。また、食料品以外の買い物についてもこの世代は少なくとも月に1回以上のオンラインの買い物が21パーセントから54パーセントに増加しました。

この新規インターネット消費者グループは食料品の他に何を購入するのでしょうか。それは例えば、消毒用アルコールやマウスガードなどのパンデミックに関連した製品や医薬品、また家具やインテリア商品、書籍ということです。KlarnaやSwishといった容易な電子決済のための携帯電話アプリケーションが幅広い年齢層に広がっていることも、お年寄りの活発なネットショッピングを加速させたとも考えられています。

ポストノード（日本郵政に相当の機関）が行った企業と消費者対象に行われた調査によると、2020年のスウェーデンのネットショッピングは40％増加し、総売上高は1,220億クローナ（日本円で約1兆5400億円）に達しました。以前はネットショッピングで遅れをとっていた食料品取引が昨年爆発したと言われ、昨年の売上高の成長のほぼ70％がオンラインで行われていました。

便利さの一方で抱える不安

しかし、多くのお年寄りはネットショッピングに十分な安全性を感じているわけではありません。例えば、お年寄りは、銀行の口座情報をインターネット上から消去したり、商品の返品や交換をしたりすることが非常に難しいと感じています。また、お年寄りは第三者が自分のアカウント情報にアクセスできるのではないかと不安に感じています。ネットショッピングに不安を感じる場合は、カスタマーサービスに連絡する、家族や信頼できる人に助けてもらうなどヘルプが得られる状況を確認しておくことが考えられます。

ちなみに、筆者は近年、食料品を含めて買い物をするために店舗へ出かけるということがほとんどなくなりました。携帯電話でいつでも注文、支払いができること、細かい時間指定が可能なこと、配達業者と全く接触しなくていいこと、配達料が低額もしくは無料なことからネットショッピングしない理由が見つかりません。配達業者は多くの場合、複数業者から選ぶことができ、配達員へホームページを通してメッセージを残すことができます。

パンデミックは、お年寄りの買い物の仕方にも大きな影響を与えました。日々変化する社会の中で、お年寄りも安心して暮らしていけるよう、ネットショッピングを含めた、便利な情報が適切な形で提供され、サポート体制が整っていることが望ましいのではないでしょうか。

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出典

Folkhälsomyndigheten. (2021). Statistik för vaccin mot Covid-19. https://www.folkhalsomyndigheten.se/smittskydd-beredskap/utbrott/aktuella-utbrott/covid-19/statistik-och-analyser/statistik-over-registrerade-vaccinationer-covid-19/

Forskning.se. (2020). Kraftig ökning av e-handel bland äldre under coronakrisen. https://www.forskning.se/2020/06/29/kraftig-okning-av-e-handel-bland-aldre-under-coronakrisen/