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スウェーデンの長寿の秘訣2

今回のレポートでは、最近スウェーデン人研究者が出版した、長寿の秘訣についての本をご紹介したいと思います。以前にも長寿の秘訣についてお伝えしましたが、今回はそのアップデート版といったところです。  

■長生きの秘訣

誰しも健康で長生きしたいと思っていることと思います。以前にも「スウェーデンの長寿の秘訣」と題したレポートをご紹介しましたが、最近また医師でヨーテボリ大学の研究者のベッティル・マークルンド教授が長生きに関する本を出版しました。10 TIPS Må bättre och lev 10 år längre (心身ともに健康で10年長生きする10の秘訣)と題した本で、最新の研究結果に基づいた秘訣が書かれています。

     

若いころは若さが永遠に続くように感じるかもしれませんが、40歳を過ぎると何らかの慢性的な病気を抱えるようになってきます。老眼などもそうです。関節が痛み出し、動作をするたびに呻くようになるでしょう。誰しも歳を取ります。「寿命を延ばすことはできるのか?」と誰しも思うことでしょう。 

 マークルンド教授は「それは可能です。どんな遺伝子を持っていようとも。正しいライフスタイルで生活することで、感情に良い影響を与え、それが寿命にも影響を与えます。」と言っています。教授は一般の人と同様に、長い間、寿命には遺伝子が大きく関係していると信じていました。しかし、健康と寿命を決定する因子について色々と調べていくうちに、遺伝子の影響は25%程度しかないことが分かったそうです。つまり、残りの75%はコントロール可能なものだということです。

そしてマークルンド教授はそのために生活スタイルを劇的に変える必要はなく、わずかに修正するだけで良いと言っています。 このことに気が付いたので、教授はこの発見とそれに関するアドバイスを一つの本にまとめることにしたのだそうです。そして、それをできるだけわかりやすく一般の人にも紹介するために先にご紹介したような本を出版した次第です。わずか100ページほどの本の中に長生きのための秘訣がぎっしり詰まっています。アドバイスのほとんどがすぐにでも実行できるものです。10の秘訣が書かれていますが、どれか一つを実行するだけでも最高で7年は長生きするそうです。 

高齢の方にはビタミンDを積極的に摂取するのが良いと言っています(スウェーデンは特に冬の間は日照時間が短いため子供から大人までビタミンDを取ることが推奨されています)。高齢になるとビタミンDを吸収する能力が落ちるそうで、教授は秋分から春分までの間はビタミンDを多めに取ることを推奨しています。

太陽の光を浴びることも推奨しています。太陽が昇っている間に外でコーヒーを飲んだり、散歩をしたりするのが良いと言っています。 「歩くことは重要です。体を動かすことは生きていく上で必要です。健康に生きていくためには筋トレとフィットネスが全てです。走るのが難しければ歩くだけでも十分です。毎日歩くだけで、脳卒中のリスクが下がるという研究結果もあります。」 

腹八分に食べることも大事だと言っています。満腹になるまで食べずに、いったん食べるのをやめて待ってみて、それでもまだお腹がすいているようだったら食べてもよいとアドバイスしています。 仲のいい友達と一緒に太陽の下、散歩をするというのもいいアイディアです。

そして孤独が病気の最大の原因です。特に望まぬ孤独が最悪だそうです。孤独から抜け出すためには何かアクティビティを探すとよいとアドバイスしています(例えば、歌を歌ったり、ペットを飼ったり)。「孤独から抜け出す最初の一歩が一番難しいです。ひとたびその殻を破ればあとはうまくいきます」と教授は言っています。   

このほかにも、正しい食生活、運動、社会的な活動を忘れてはいけませんとアドバイスしています。また、疲労回復、リラックス、休息を取ることの重要性を軽視してはいけませんと言っています。ストレスは喫煙と同じぐらい害があるそうです。

免疫システムの80%は腸にあるので、繊維などを摂って、腸を健康に保つことも長生きするために重要だとアドバイスしています。また、ポジティブシンキングも大事で、ネガティブに考える人よりもポジティブに考える人のほうが長生きするという結果もあるそうです 「生まれつき悲観主義の人が突然楽観主義者になるのは難しいですが、例えばハッピーエンディングの本を読んだり、音楽を聴いたりして脳をだますといいかもしれません」と教授は言っています。   それでは最後に長生きするための10のアドバイスをまとめてみます。  

①色々な色のフルーツと野菜を食べる。オリーブオイルを毎日、できればアボカドも。(アボカドとオリーブオイルにはオメガ3が豊富に含まれており、抗炎症効果がある)。 

②歯磨きをしっかりして、口の中を清潔に。(口に問題があればそこから体全体に問題が広がるというのが教授の持論) 

③健康的な習慣を身につけ、体重に気を付ける。 

④一日に3~4杯のコーヒーか紅茶を飲む。 

⑤体を動かす。ダンスをしたり散歩をしたり。 

⑥太陽光を恐れず、ビタミンDを75歳以下なら一日10mg、75歳以上なら20mg。 

⑦心に平穏を。 

⑧睡眠、昼寝は健康のために必要。 

⑨社会活動、エネルギーをもらえる人とのふれあい。 

⑩ポジティブシンキングをする。

■まとめ

今回のレポートでは、最新の研究結果に基づいて出版された「長生きのための10の秘訣」についてお伝えしました。いずれのアドバイスもこれまでにも幾度となく言われていたようなことですが、最近の研究で、これらのことがこれまでに信じられていたよりももっと重要であったり、その効果が再確認されたりしてより確かなものになっているようです。



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