2021-10-29 17:00:00

市民学校におけるシニア世代向けの活動

スウェーデン在住の松下です。こちらは10月31日から冬時間になります。午後、暗くなる時間が早くなり、寒さや、雨風などの不快な天候のために人は家にこもりがちになります。

スウェーデン公衆衛生省は、コロナウイルス感染症に関する報告書を10月21日に発表しました。この報告書は、2022年1月20日までのcovid-19の蔓延に関する国内および地域ごとの3つのシナリオが示されています。3つのシナリオの全てで、秋から冬にかけて感染が継続的に広がることが示されていますが、程度は異なり、全てのシナリオによると昨年と同じ時期のような社会生活に大きく影響するような制限はされないことになっています。感染の拡大が続くと予想される理由は、covid-19の高い感染力、寒い季節への移行、および人口にワクチン未接種の人々のグループがまだ存在するという事実です。

そういう状況の中、パンデミック以前に活発に行われていたシニア世代のための様々な活動が徐々に再開されています。今回は、Medborgarskolan (市民学校: 筆者訳) におけるスウェーデンらしい活動を紹介したいと思います。

■徐々に再開されているシニア世代のための活動

非営利団体である市民学校では、新しい知識が人々の勇気や可能性を生むという理念から様々な教育活動を行なっています。また、この学校の中心的な理念としてヒューマニズムがあります。この理念のもと、市民学校では、人々を肯定し、各人が新しい洞察を吸収し、より成熟する能力を持っているということを根底に活動が行われます。

市民学校では生涯学習にも重点を置いています。その根底には、全ての人間が年齢やその他の条件に関係なく知識を通じて成長することができるということがあります。市民学校では一緒に学ぶということを通じて、人々が楽しく新しい知識を開発したり習得したりすることができるために、小さくとも地道に活動を続けています。

■介護施設向けのサークル活動

例えば、市民学校はシニア住宅を運営する介護施設、Kavatvård(カヴァートヴォード)と協力して介護施設に住むお年寄り向けのサークル活動を行なっています。この活動は2017年にスタートして以来、60を超えるサークル活動が介護施設内で行われました。記憶トレーニングを交えた音楽サークル、手に障害がある人のための生地の染色、花輪作り、内面の表現を目的とした絵画、認知症の人のための演劇がその例です。

この介護施設では、施設に住むお年寄りが参加するサークルに、その家族を招待することが計画されています。創造的な作業を交えることで、困難になりがちな認知症の人とのコミュニケーションが楽になると期待されています。また、厳選された美術館と連携し、美術コレクションを介護施設に持ち込み、身体的な理由で外出できない人でも芸術作品に触れることを可能にしています。

介護施設向けのサークル活動