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活躍するシニア(3)

今月のレポートではスウェーデンのアクティブなシニアについてレポートしたいと思います。  

作家・ジャーナリスト リンダ・オルソン


まずはじめに、作家のリンダ・オルソンを紹介したいと思います。リンダ・オルソンはスウェーデンからニュージーランドに移住し、その後2006年に57歳でデビューした遅咲きの作家・ジャーナリストです。デビュー作の「Nu vill jag sjunga dig milda sånger(邦題:やさしい歌を歌ってあげる)」は、デビュー作としては最も売れた作品となり、スウェーデンの大手出版社から出版されました。 彼女は前夫の仕事の関係で、ニュージーランドや日本を含む世界各国を転々とし、その片手間にはじめたのが著作業でした。スポーツと経済に興味がある前夫と芸術や文学に興味があるご本人とで、価値観があわず離婚されました。そして現在ご本人と子供2人と孫3人はニュージーランド在住、お子さんの一人がスウェーデン在住ということで、基本的にニュージーランドが生活の拠点となっていますが、ときどきスウェーデンにも帰ってこられています。 そういった環境の中で生み出された作品ですが、デビュー作での成功後も、エネルギッシュなに著作活動を続けており、次々と新作を出しています。また、英語とスウェーデン語両方で著作活動を行っています。リンダ・オルソンは時としてメランコリックな雰囲気が漂う作品を書いていますが、彼女のエネルギッシュな生き方も読者を惹きつけている理由のひとつなのかもしれません。

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リンダ・オルソン 写真出典:Wikimedia Commons

絵付師 マイブリット・レカンダー

磁器に絵付けをする絵付師のマイブリット・レカンダーさんは「みどりおばさん」としても知られています(「みどりおばさん」: スウェーデンの代表的絵本作家、エルサ・ベスコフの「みどりおばさん、ちゃいろおばさん、むらさきおばさん」の登場人物として有名)。結婚後、一男をもうけ、1960年代に、スウェーデン最古の街として知られるストックホルム県内の小さな町、シグトゥーナにやってきました。街に一目ぼれして、それ以来ずっとそこに住み続けています。この街が本当に好きで、自転車などでよく散策しているそうです。 レカンダーさんはもうすぐ90歳になりますが、Tant Grön(みどりおばさん)というお店を経営しており、今でも現役で毎日絵付けの仕事をしています。緑の葉っぱをモチーフにしたデザインを得意としています。80歳を過ぎたころにこの仕事をやめようかと思ったこともあったそうですが、この仕事が好きでやめることができなかったそうです。

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マイブリット・レカンダーさん(写真中央)と お店(写真左) 写真出典: http://kgard.hemsida24.se/

Red Hat Society

前に紹介したお二人はその道の「有名人」ですが、最後に一般のアクティブなシニアが参加する団体について紹介したいと思います。アメリカ発祥の組織でRed Hat Society(あえて訳せば「赤帽協会」といったところでしょうか)という団体があり、スウェーデンにもその支部がいくつかあります。この団体は50歳以上のシニアの女性が旅行をしたり、パーティをしたり、劇場にいったり、歌を歌ったりと、とにかく「楽しむ」ために設立された団体です。基本的に50歳以上の女性、赤い帽子をかぶって紫の服を着る、病気・政治・宗教の話はしない、という要件を満たしていれば誰でも参加することができます。 スウェーデン国内の支部のひとつ「RHAPSODY in RED」には様々な職業の人が集まっていますが、共通しているのは、皆、仕事や育児・家事などばかりに時間とエネルギーを割いた人生を送ってきて、何かもっと別な楽しみを持たなければいけないと思っているということです。メンバーの一人、インゲルさんもこれまでは自分を犠牲にして、他の人のために働くことが多かったけど、会のメンバーになってからは自分をもっと大事にして、自分のために時間を割くようになったと言っています。会の立ち上げに関わった会長のカリーナさんが最初に「赤い帽子と紫の服を身につけて楽しいことをしよう」と呼びかけたときは、3,4人しか賛同者がいなかったようですが、その後、一気に輪が広がり、今ではカリーナさんの支部だけでも50人を超えるメンバーがいます。

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RHAPSODY in RED のメンバー 写真:スウェーデンのRed Hat Society 「RHAPSODY in RED」のホームページより

まとめ

今回のレポートでは、アクティブなシニアについてお伝えしました。アクティブな人の話を聞いたり、活動を知ることで、元気をもらうことができます。アクティブな人からエネルギーをもらって、何か熱中できること、楽しめることを見つけて有意義なシニア生活を送りたいものです。


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