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活躍するシニア(4)

今回のレポートでは、これまでにも何度かお伝えした活躍するシニアについてお伝えしたいと思います。今回は看護師として働く女性と長年森の保護活動を行っている男性をご紹介します。  

■看護師(76歳)

エバさん(女性)は76歳ですが、パートタイムでもいいので看護師として働き続けたいと思い、そうすることにしました。通常は一週間に2日ほどストックホルム郊外の病院で働いているそうです。勤務のある日は8時間勤務で、主に電話での相談に応じています。 「仕事を楽しんでいます。肉体的な負担も少ないので。」と膝に関節炎を抱えているエバさんは言っています。お金のために働いているのではなく、患者さんや同僚と触れ合うのが楽しいと言っています。勤務スケジュールは自分で決めれるそうで、フレキシブルに対応してくれる職場に感謝しているそうです。


    

   エバさんが勤務している病院     

■スウェーデン医療専門家協会

医療関係者で構成されている労働組合、スウェーデン医療専門家協会のシネバ・リベイロ会長は高齢者の権利を確固たるものにし、さらに権利を主張していかなければ、シニアの人に医療の分野で仕事を続けてもらうことが難しくなると言っています。被雇用者の保護や社会保障がある年齢になったからといって急にやめるようなことがあってはならないと言っています。また、雇用者はより戦略を練ってシニアの人たちが持っている経験を上手く活用していくようにしなければならないと思っているようです。 また、リベイロ会長は「シニアの看護師は確かな・高い知識を持っているので、そういった人材が求められています。シニアの看護師は、わからないことも多く、ストレスの多い職場で働いている若い看護師をサポート・指導することができます。」と言っています。

    

   スウェーデン医療専門家協会のシネバ・リベイロ会長(協会HPより)  

■森林保護活動家(78歳)

ビョーンさん(男性)は小児科医でしたが、2005年に定年退職した後、森林保護活動を続けています。スウェーデン北部のピーテオを拠点に活動しています。長年森林の保護活動に携わっており、2010年には環境保護関係の雑誌、Miljöaktuellt (1973年に前身誌が創刊、2016年に他誌と合併して持続可能な社会に関する雑誌、Aktuell Hållbarhetとして継続)によって「最も森の環境にやさしい人」に選ばれました。1970年代初頭から定年退職する2005年まで小児科医として働いていましたが、以前からずっと古い森林を保護したいと思っていたそうです。森林が開発の名のもとに破壊されるのを目の当たりに見て森林保護に目覚めたそうです。森林伐採などをして開発を企業は目先の利益ばかりを考えていて、― それが企業の宿命なのかもしれないけれども ― 長い目で見ていないと嘆いています。仲間と共にそのような会社とも交渉を行い、アクティブに行動しています。 「引退した小児科医ですが、よく、森が最後の患者だと言っております。私の周りには子供のころから常に森がありました。今、恩返しをしたいと思っております。今後も頑張りたいと思います」とビョーンさんは言っています。

   

 ビョーンさん 写真出典:Skydda skogen  

■まとめ

今回のレポートでは、まず看護師として働くエバさんをご紹介しました。できる範囲で仕事を継続することで、社会的な活動を続けることができ、本人にとっても良いことですし、また同じ職場にいる若い人たちも経験者からのアドバイスをもらえるのでWin-Winの関係を築けるのではないかと思います。雇用する側にはシニア(経験者)の権利を尊重し、働く人に合わせたフレキシブルなスケジュールを組むなど、戦略を練って上手く活用することが求められているようです。また、二人目のビョーンさんのように、組織や会社に所属せずに、自分で活動の輪を広げていくことも、活躍するための一つの方法のように思います。


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