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スウェーデン最大規模のシニア展2017

毎年10月下旬にストックホルムで開かれているシニア展が今年(2017年)も、10月24日から26日まで、3日間開催されました。2011年から毎年お伝えしているストックホルムでのシニア展の様子ですが、参加者・展示ブースの数は右肩上がりに増え続けており、ますます盛況です。今年は、来場者数は延べ14309人で前年比で+7.6%、展示ブース(参加企業)は約260でこちらも去年を上回っています。3日間で30件近くのシニアを対象にした講演・音楽公演も行われました。今回のレポートではそのうちいくつかをピックアップしてお伝えしたいと思います。   

 ■DJグロリア

会場では「DJグロリア」によるディスコが開かれました。スウェーデンで最年長の女性ディスクジョッキー(DJ)である「DJグロリア」ことマデリン・モンスソンさんは73歳です。 モンスソンさんは60歳の時、9年間看病したご主人を亡くし、その二ヵ月後にはお母様も亡くされました。無気力、鬱の状態に陥ったそうですが、医者には健康上の問題はないと言われたそうです。そういった状態から抜け出すためにジム通いを始めたそうですが自分に合っているとは思わなかったそうです。ジムの中で流れる若者向けの「酷い音楽」にうんざりし、シニア向けのジムにも参加したけれども、今度はあまりにもスローテンポで合わなかったそうです。 そこでエアロビのインストラクターになることにしたそうです。自分でエアロビのトレーニング中に使う音楽の再生リストを作成したところ参加者の評判が良かったそうです。そのとき、DJになることに興味を持ったそうです。友人の息子さんがDJをしており、その人からアドバイスをもらい、62歳の時一念発起し、DJの勉強を始めました。そして64歳からDJとしての活動を始め、現在はスウェーデン最年長の女性DJとして活動し、50歳以上のシニアを対象としたディスコ「グロリア50+ディスコ」を運営しています。ライブでは前もって再生リストを作ることはせず、その場で、お客様を見ながら、掛け合いで、曲を選択するそうです。シニア展の会場でもライブを開催し、来場者がDJグロリアの曲に合わせて踊っていました。 DJグロリアはエネルギッシュな人で、DVDを出したり、雑誌に登場したり、退職者協会が主催する健康をテーマにした旅行に招待されたりと、多方面で活躍しています。そんなDJグロリアさんは「時には違う環境に身を置いて、脳を刺激して、クリエイティブになろう」と言っています。

   

 DJグロリア 出典:シニア展Facebookページ  

■シニアの仕事

これまでにも何度かレポートいたしましたが、定年退職後も働き続ける人が増えてきています。シニアは昔に比べて元気でアクティブ。定年退職しても完全に仕事から退くのはまだ早いと考えている人が多いようです。シニア展では、シニア人材派遣会社「ベテランクラフト」のベンクトソン氏が講演を行いました。 シニア人材派遣会社(55歳以上対象)のベテランクラフトには55歳以上の人が1万人以上データベースに登録されているそうです。ベテランクラフトのベンクトソン氏によると、定年退職後数か月もすると、現役時代はあった社会とのつながりが薄くなり、パートナー(妻・夫)がまだ現役で働いている場合は一層疎外感が強くなるそうです。人材派遣会社に登録することで、社会とのつながりを保つことができるとベンクトソン氏は言っています。ベテランクラフトでは、いつ、どれくらいの量仕事をするかを自分で決めることができると言っています。1週間に1日だけ働くのも良し、一か月しっかり働いてお金を貯めてその後長期旅行に行くのも良し。その人に合わせたいろいろな働き方が可能です。求人は個人の依頼主から会社の依頼主まで合わせて1週間に150~200件あるそうです。派遣会社では事務員、教師、庭師、職人など幅広い分野での人材を提供しています。しかし、1万人登録していても顧客からの要望に応えることができない場合もあるそうです。そのため、顧客の要望にできるだけ応えられるように社内でも能力開発を行っているそうです。例えば、木を伐りたい人のためにチェーンソー使用のための免許取得のコースを用意しており、登録しているシニアの能力を開発していく活動も行っています。   

 ■シニアのファッション

 主にシニアの女性向けの製品を展開しているアパレル会社社長のベルグッデン氏がシニア展でファッションについての講演を行いました。 最近、シニアの方もファッションに注目しているそうですが、流行を追うという意味ではなく、着心地が良く、質がいいものに注目しているということのようです。ベルグッデンさん曰く「流行を追いつつも、自分に合ったものを求めている」そうです。シニアのファッションと普通のファッションとではどう違うのかというと、シニアのファッションでは「自分の体にフィットするかが問題」なのだそうです。 ベルグッデンさんンは、シニアのファッションについて次のように言及しています。 「歳と共に体形が変わってくるので、それに合わせてファッションをどう変えるかということを考えなければならないようになります。ゆったりした服を着てみたくなるかもしれませんし、歳と共にたるんできた腕を隠すために長めのシャツを着たくなるかもしれません。それから、幅広の靴を履いたりすることも必要になってくるかもしれません。シニアももちろんファッショナブルでありたいと思っています。できればかかとの高い靴を履きたいと思っているかも。でも多くのシニアが外反母趾などの問題を抱えています。そのため、靴は小さすぎないものを履くことが重要になってきます。ファッショナブルでありつつ、快適であることを目指しましょう。この秋(2017年)はビロード・メタル系で、明るい柄のものが流行だ。色に関しては引き続きピンクが流行です。ピンクという色はシニア、特に銀髪の人にとっては有難い色なんです。私自身、髪を染めるのをやめて銀髪にしたとき、トーンが変わったことに気が付きました。そして、突然明るい色が似あうようになりました。銀髪の方はパステルカラーが良いでしょう。」「年相応の恰好をしないといけないのでしょうか?」という質問には「そんなことはありません。本人が何を着たいかです。朝着替えてみて、いい感じだと思えばそれでいいのです。自分に合った洋服を着ると自然とファッショナブルになります」と答えています。

   

 アパレル会社社長ベルグッデン氏   

 ■まとめ 

今回のレポートでは、ますます好評のシニア展2017についてお伝えしました。講演を行った人たちの中から3人の方を選びご紹介いしました。ご紹介したシニアの生き方、働き方、ファッションの他にも旅行、健康、飲食関係など様々な講演が行われ、今年も盛況のうちにシニア展は幕を閉じました。