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シニア・高齢者とデジタル技術

今回は、介護現場におけるデジタル化についてお伝えしたいと思います。デジタル技術を利用して利用者や介護スタッフがより快適に生活できるよう様々な工夫が行われています。

■ シニア・高齢者のモバイル通信利用率の上昇

スウェーデンの電話通信会社であるテレノール・スウェーデンによると、最近スマホやタブレットによるモバイル通信の利用者数が全国的に急増しているそうです。最も利用率が高いスウェーデン南部の都市ヨンショーピング市でさえ、急激に利用率が伸びているそうです。ヨンショーピング市では51~60歳のシニア世代の利用率が最も伸びており、伸び率は122%でした。次いで、70歳以上の高齢者世代の伸び率が110%でした。 「ここ数年ネットの利用の仕方が変わってきました。ライブ動画を携帯電話から配信するようになり、これが一番データ通信量を押し上げています。以前よりも無制限のデータ通信プランやデータ量が多いプランを選ぶ方が増えました。また、固定型のインターネットの代替としても使われています。利用率としては依然若者世代が最も多いのですが、シニア・高齢者世代とのギャップは縮まってきています」とテレノールの担当者は分析しています。また、国内の様々なものがデジタル化されたこともシニア・高齢者の利用率を押し上げている原因だと担当者は推測しています。

     

■ 訪問介護の現場・地方自治体のデジタル技術活用例

デジタル技術は訪問介護の現場でも活用されています。ストックホルムから西へ150kmほどのところにあるアルボーガ市では訪問介護サービスでデジタル技術を利用しています。スタッフはスマホのアプリからスケジュールの確認、タスクの確認、業務報告などができるようになりました。また、ドアの内側に取り付けてある電子ロックをアプリで開けることもできるようになりました。これにより、スタッフは事務処理を軽減することができ、鍵を探す必要もなくなりました。また、時間も節約できるようになりました。例えば、訪問先の合い鍵を他のスタッフに引き継ぐ必要もなくなりました。また、利用者にも好評のようです。以前は緊急の場合鍵を持っている人が駆けつける必要がありましたが、電子キーになってからは一番近くにいる人が駆けつけることができるようになりました。 アルボーガ市の担当者のサベリウス氏は「2013年までは紙とペンで業務報告をしたり、計画を立てたりしていました。明らかに全体を把握するのが難しく、プランを最適化するのが困難でした。デジタル化してからこういった状況は劇的に改善されました」と言っています。また、デジタル化された情報を分析することにより最適化することが容易になったそうです。サベリウス氏は、「これは訪問介護事業での画期的な出来事です。利用者にとっても、介護スタッフにとっても」と言っています。

 

 アルボーガ市の担当者マルヨ・サベリウス氏 写真:アルボーガ市のMynewsdeskより

   ストックホルムから南西に70kmほど行ったところにあるトローサ市も介護分野でのデジタル化を進めています。高齢者の生活の質を向上させるために、デジタル技術をどう生かせるかテストをしています。2017年までにトローサ市ではお掃除ロボット、オンラインショッピング、一人住まいのお年寄りの家に設置する夜間の介護用見守りカメラ、介護を受ける人やその家族とのオンラインミーティングなどをテストしてきました。 「デジタル技術を活用することで、より効果的で利用しやすいものにしたいと思っています。自治体の援助を受けている利用者とスタッフ双方にとって生活の質が向上すればと思っています」と担当者は言っています。

   

 見守りカメラ左手前と利用者とスタッフ 写真:ヤンネ・アンダーション

   

スタッフがタブレットでカメラ映像を確認 写真:ヤンネ・アンダーション

 また、スコーネやヘッセルホルムなどスウェーデン南部のいくつかの自治体が共同でEUから介護現場におけるデジタル化のためのプロジェクト予算を獲得しました。ヘッセルホルム市の担当者はスタッフのデジタルスキルが向上し利用者とのコミュニケーションが円滑になることを期待しています。「デジタル技術の導入によって利用者と介護スタッフのつながりが希薄になるとは思っていません。むしろ逆だと思います」と担当者は言っています。ヘッセルホルム市はプロジェクトの中でスタッフのデジタルスキルの向上などの人材育成を担当するそうです。

 ■まとめ

今回のレポートでは、介護現場におけるデジタル技術の利用についてお伝えしました。各自治体が訪問介護の現場で利用者、スタッフ双方が快適になるようにデジタル技術が積極的に利用されています。今後、ますます導入が進むと思われます。